闇の彼方を駆け抜けろ、走れ、“迷宮列車”アナザー トレイン、グランダート
はい、皆さんおはようございます、初の短編でございます
この短編は、今までの集大成で全力で取り組んだ作品です
呼んでいただけたら、嬉しいです、ところでなろうの
書いている人たちは、なろう民など呼ばれているようですが
何か違うような気がします、ということで私は
なろうダー、と言うのが良いと思いました、そんなわけで
力を入れた初の短編、お読みいただければ幸いです
byなろうダー タケゾウ
パチン、真っ黒な服を着て黒い帽子をかぶり、銀色のブーツを履いた
1人の少年と少女がハサミを持ち綺麗に飾られたテープをカットする。
その瞬間ワァーーという歓声が上がる。
彼らはこれから、巨大な物体を操縦するオペレーターとして活躍する。
彼らの切ったテープを見て様々な人々が盛大な拍手を送る。
その中には、この国の最高権力者。
国王と王妃、そしてその子供たちもいる。
国王の息子と娘,その2人も、うれしそうに拍手をしている。
その後ろにある巨大な物体を見ながら。
今日はめでたい日、列車初起動の記念式典。
テープカットをしている少年と少女の後ろにある、巨大な物体。
それは列車だ、横幅は5メートル、全長は100メートルにも及ぶ。
黒々と輝き、出発は今か今かと待ち浴びてるようだ。
テープカットが終わり、少年と少女は列車の近くまで行く。
その2人が一瞬で消えた、彼ら2人は列車の中に転移したのだ。
その途端に列車の全体から光が溢れる。
今まで魔力をずっと蓄え続けてきた列車が2人の
操縦士を得て走ることになる、何百年の時を超えて。
王城にある玉座の間、そのすぐ横にある列車の駅。
後ほど説明するが、この玉座には、そんな不思議な仕掛けがあった。
そこにある列車、名前はグランダートと言う。
初代国王と現国王の名前を取られている。
いちばん先頭車両には通常であるならば運転席が設けられているが
何もなく、半円の良好な視界が得られている。
この席は紛れもなく特等席だろう。
その後に同じような客車が並びそれが100メートルの長さになっている。
少しおかしいのは先頭車両の真上にある操縦席部分だ
昔のd51の形に似ている。
その下にあるのは、正方形を切り取ったような形のブリッジ。
客車はそのブリッジの下に入り込むようになっている。
中央には、ガラスの窓が取り付けられ操縦席から外が見える。
高さは5メートル前後、操縦席には2人の席が備えられており、
右に少年カル、左に少女メリルが座っている。
カルは、操縦士、メリルは、索敵及び砲撃士。
カルとメリルが中央にある1本のレバーを手を絡めるようにして持つ。
2人ゆっくりと見つめ合い、頬をすりあわせたり。
髪と髪をすり合わせたり恋人同士のスキンシップ。
そしてゆっくりと唇を重ねた。
長い長いキス、唇と唇が合わさる、可愛らしいフレンチキス。
名残惜しそうにゆっくりと唇が離れる。
唇が離れた後、徐々に2人とも顔は真っ赤っかになる。
正面にある、ガラス窓には人は写っていない。
誰にも見られてないことに安堵しながら2人はおでこを
突き合ってクスクスと笑い始めた。
この列車は2人の魔力で動く、そして最も効率が良いのは
感情の高ぶりだ。
数ヶ月前から2人はこの列車を動かす為にいろいろと試行錯誤していた。
ようやく結論づいたのが感情を伴った魔力の高ぶり。
それが増幅されて列車に吸収される。
そんなこんなでようやっと発進準備が、整って今に至る。
2人が式典の最中抜け出して準備と言うイチャイチャに
勤しんでいる間に式典が終わる。
出席していた者たちが列車に乗り込み、発進を
今か今かと心待ちにしている。
先頭車両に座った国王も王妃も楽しみにしているようだ。
もちろん国王の子供もワクワクしている。
そんな姿が、操縦席のモニターに映し出された。
剣と魔法の世界に現れた、とてつもないテクノロジーの塊の列車。
その古代科学の叡智とも言うべき列車が数百年の時を超えて
様々な思惑を乗り越えて動き出す。
汽笛が鳴り響く、カルは自分の足の間にある操縦桿をしっかりと握り
隣にいるメリルに声をかける。
「間もなく発進するよ、全チェックをお願い」
その問いにメリルはしっかりと答える。
「了解、発進シークエンスを始めます、グランダート
ご機嫌いかが?発進をお願い、よろしくね」
メリルの正面、モニターがOKサインを出し様々な文字が映し出される。
pipipipipipipiーーーpipipii
機械音の後、合成された音声が2人に話しかけた。
「魔力充填、お疲れ様でした、後ほど他の皆さんにも
見ていただきましょう、発進シークエンスを開始いたします
レール、 OK
魔力シリンダー、 OK
圧力異常なし OK
圧縮魔力炉 OK
魔力回路異常なし OK」
カルが叫ぶ
「魔力充填見ていただきましょうって、まさか! ! ! 」
そんなこと知らんとばかりに、グランダートは報告を続ける
「ナインズ、ゾーン、以下500m先異常は無し
ライト OK 車両連結回路 OK
迷宮40階層までの燃料、魔力・ OK
発進シークエンスの終了を報告します」
「そんなことより、魔力充填の姿を見せるって
やめてよ恥ずかしいから」
メリルが叫ぶ
グランダートは抑揚の無い機械音で話す
「美しい姿でした、私が独り占めするのはもったいないのですが
そこまで言われるのでしたら、やめておきましょう、まぁ
さすがに夜の睦合いまで、していただいたので魔力が早く留まりました」
この言葉に2人は再び顔を赤くしてグランダートに抗議した。
ちなみに、この3人?の漫才は乗客に全て放送されていた。
後ほど2人は散々からかわれることになる。
数十人の人間がグランダートの横に立つ、初起動の列車の見送りの為に
そして列車が動き出す。
フォーーーーーーーーーーー、汽笛が鳴り、シュン、シュシュシュ
力強く、車輪が回る、ガタンガタンと、力強く音が響き
レールの起動が変化し列車は右へ左へ。
レール軌道が安定し正面を見据える、強力なライトが点灯し
真っ直ぐに列車は進む。
再び闇を切り裂いて汽笛が鳴る。
フォーーーーーーーーーーー
列車は斜め上に進み灰暗いホームを抜けて
直線の先にある光を目指す。
シュン、シュシュシュシュシュ
と爆音を響かせながら、光を抜ける、その先にあるのは王国。
広大な9の形の城壁に囲まれた城壁の上にあるレールを走る。
たくさんの人々が各々、高い場所に上リ、走る列車の姿を見て
手を振っている。
列車に乗ってるものも興奮して手を振り返す。
王国の、王様も貴族も乗っている。
冒険者も、それを見送る人々も興奮して一体となって
手を振って歓声を上げる。
やがて列車は円を描いてその城砦を1周した後直線に入り迷宮に突入した。
迷宮国家グラン、そこは不思議な城砦に囲まれた王国である。
9の形をした不思議な城壁、そして迷宮、様々な出土品を
他国に輸出したりしている。
もちろん、そこには冒険者、そして冒険者を囲むギルドも存在している。
いわゆる不思議なファンタジー世界、もちろん魔法もあり
駆け出しもあり熟練者もいる。
そんな中一攫千金を目指す冒険者が迷宮を目指す
強大な城壁、その先端には迷宮の入り口がある
その迷宮は不思議なもので大人2人が並んで入れるほどの入り口に
(この先にあるのは死である)そう書かれている。
その入り口を超えると暗くて長い階段がありその階段を超えると
広大な迷宮がある。
石の壁に囲まれた長い長い道のり。
もちろんモンスターもでてくる、そのモンスターを倒すと
必ず何かがでてくる、それは武器であったり、防具であったり
くだらないものであったり、値打ちものであったり
ただ、その階層に必ず1つの階段があり下へ行けば行くほど
良いものが出てくる、冒険者たちはそれを集めてお金に変えて
生活をしている、もちろん自分の実力を考えずに欲に駆られて
先へ先へと進みモンスターたちに殺される、なんてことも日常茶飯事である
モンスターだけではなく、先に入った者たちと後に入った者たちとの戦い
協力し合っていたが戦利品を見たとたんにその協定が壊れ殺し合いに発展
なんてこともある、だがそれでも、迷宮に入るものは後が立たない
その中に、2人の少年少女の冒険者がいる、この迷宮国家で生まれ育ち
迷宮に憧れを持ってきた2人男の子はカル、女の子はメリル
もともとギルドで下働きをしながら先輩の冒険者たちにも
可愛がってもらっていた2人はギルドマスターの20階層までは大丈夫
そうお墨付きをもらって、様々な準備をして迷宮に挑んだ
幸いなことに彼らに敵対行動するような馬鹿な冒険者はいない
ギルドマスターや他の熟練冒険者達に睨まれるようなことはしない
最も彼ら2人はギルド内でも周りの町内にも好かれているので
妙な危険もなく迷宮を苦も無く15階層まで突破していた
迷宮1階から10階まで石の壁が続く迷宮、そのまんまだ
迷宮9階にはボスがいて、30体ほどのゴブリンがいた
カルの剣技、メリルの魔法、そして合わさった魔法剣
高速で魔法を打ち出す2人の合体技
剣から打ち出された高速の炎、それがゴブリンたちを襲う
あっという間に全体の三分の一が火だるまになる
それを見たゴブリンたちがパニック状態、そんな状態の中
カルは上段.下段を使い分けて的確に敵を切り裂いて行く
メリルも撃ち漏らしたゴブリンを右手に持ったメイスで
頭を潰して行く、ゴブリンは女性を襲う習性がある
ゆえに確実に潰せと教わっている、遠慮会釈なく
二人はゴブリンを殲滅していった
通常、駆け出しであるならば相当苦労するのだが
ギルドマスターお墨付きの2人である、魔力を扱うことにかけて
2人は相当の技量を持っていた、ゆえに迷宮20階層までの
許可が出たのだ
そしていよいよ10階層、上を向くとそこには月、周りを見ると墓場
ボコボコとでてくる死霊たち、いわゆるゾンビ、だが事前情報もあるので
難なく彼らを切り殺してゆく、同時にメリルの魔法が炸裂
聖なる呪文と呼ばれるメリルの得意技
もともと神官の呪文であるのだが、メリルはこれを使いこなしていた
そんなこんなで、回復薬や毒薬や細かな遊び道具や防具や短剣
ちょっと良いショートソード等をマジックバックにしまいながら
ニコニコと笑い2人で手をパチンと合わせたりして喜んだ
もともと実力のあった2人だが、その成果が直接見ることができて
うれしい、そんなことがあって油断も生まれてくる、
そこから、さらに道を進んで行く、長い峡谷があり、遠くのほうに
橋が見える、それは二本の線が長く続いている、しばらくその景色に
見惚れてしまう、ギルドにもその報告は来ている、何に使われているか
わからない橋、誰も行けない橋、そこはどこが素なのかわからない
光が反射して荘厳な雰囲気を出していたしばらく景色を堪能したとき、
メリルはマジックバックから、小さな水晶を取り出しかざして景色を移す
この小さな水晶は周りの景色を写すことができる、
カルはメリルの姿を見ているとメリルはトコトコと近寄ってきて
カルにキスをする、チュッと音がして、すぐに離れる
「エヘヘ!」とメリルは可愛らしく笑う、その顔を見てカルは顔を真っ赤にする
「もう、メリルは!」ちょっと憎まれ口を叩いた後、二人ともそこで休憩
と、言う名のイチャイチャタイム、その後、気合を入れなおして
二人は迷宮の奥に向かって歩いて行く
十四階層の階段を降り、いよいよ15階層
まず、いきなりキングゾンビ(2メートルの巨大なモノ)そして
キングスケルトン(同じ位)さらに多数の蝙蝠、キーキーないてうるさく
戦闘を阻害される、 が、
現れて退却を余儀なくされた、現れた瞬間から、即座に逃走を選択
2人手をつないで突っ走る、蝙蝠に思いっきり邪魔されながら、なんとか
逃げ切ったところで罠にかかった、単純な落とし穴が2人を待ち構えていたのだ
「ウワーーーーーーーーーーーーーーーー」
「キャアーーーーーーーーーーーーーーー」
二人仲良く落ちていく、真っ黒な闇の中を!
咄嗟にカルはメリルを抱き寄せてかばう、背中から何かに着地
そのまま滑り落ちていく、どうやら長い滑り台のようだ
そのまま滑っていくと………
そのまま下って行くと何かぼんやりと明かりが見える、その明かりを超えて
滑り落ちて行くと、長い滑り台があり自分たちがそれに乗ってることに気づく
それはらせん状になって下へ下へと降りてゆく、1周は
200メートルぐらいあるだろうか、ぐるぐると回りながら
降りていく、やがて、おそらく最終の降り口にきた、そこまでくると
スピードはゆっくりとしたものになり、2人無事に下に降りた
下に降りたら、周りを見渡す、そこには何10体もの白骨死体
不気味に思い戦闘態勢をとっていると、その白骨死体を起き上がる
2人とも魔力を身にまとい、剣と杖を構える、だが白骨死体は
その魔物スケルトンは何もしてこない、何かスケルトンたちが集まり
相談している、少し大きめのスケルトンが2人の前に現れて
来ち来いこっち来いと手招きをする、周りにいた何体かのスケルトンも
剣をその場で突き刺し敵意がない事をアピールする
それを見て2人とも剣を収めてスケルトンについて行く
スケルトンが連れてきた場所は、何か壁画のある場所
そこには2つの台座があり、手を置けるようになっていた
壁画には大きな長い竜のようなものが二本の線に沿って走る姿
昔から、この二本の線の事は、王城から、または近くの山からは
見えているのだが、何に使われているかわからなかった
2人にもこの壁画が何を意味するのかもわからない
ボーっと見ていたらスケルトンに肩を叩かれて
我に返る、スケルトンは2人を台座の前に連れてきて
その手の形の中に手を入れてみろとジェスチャーをした
2人ともかなり考え込んでしまう、此処が何回層かも解からない
そのとおりにやったら、何かとんでもない化け物かでてきてしまうかも
だが結局何もしなくてもジリ貧だ一か八かだと2人して決める
そして、両手を台座の手のくぼみに入れた
その台座から、そして壁画から、ほのかな明かりが灯る
今までは小さな灯りしか付いていなかったのだが
そこで初めて周りを見渡す、カルの背丈より、少し高い長い台座のようなもの
遠くには丸いくぼみのようなものがある、なぜかスケルトンたちは両手を挙げて
喜んでいる、その中の一体が2つの帽子を抱えてカルたちによってくる
両手を出してカルとメリルの頭にかぶせた、その瞬間2人の来ている服が
一瞬で破け消え去る、同時に銀色のボディスーツ、体にぴっちりとした
服が装着された、カルは良いとして、メリルにとっては、恥ずかしすぎる格好だ
スタイルも良く、年相応の少女としてはかなり発育もよく普通の服を着ると
どうしても体の1部分、バストは目立ってしまう、そんなわけでよく彼女は
魔法使いのローブ姿を好んでいたのだが、カルの視線を感じて縮こまってしまう
「何で~~~~~見ないで~~~~~」の声に合わせてマジックバックから
マントを取り出してメリルにかぶせる、それをなんとかついている
ヒモを結んで体裁を整えた、スケルトンたちはしばらく変な踊りを
踊ったり、コロコロと転がったり、何故か大喜び、やがて整列して大きな
スケルトンを待って、静かにしていた、整列が整う、そしてスケルトンたちは
歩き出す、カルとメリルを呼んで、その時に黒い服をもらう、今まとっている
銀色のスーツはどうやらインナーらしい、メリルに背中を向けて
ズボンをはいて、黒い服をきる、黒い服の中央にはボタンがあり
それを一つ一つ止めて行く、メリルのほうも同じだが、下はロングの
スカートになっている、気にしている胸部はゆったりとした作りなので
あまり目立たない、二人ともそれが気に入ったのか飛び跳ねたり
クルクル回ったりしている、そして落ち着いたのか
スケルトンについて歩いて行く、しばらく歩くと小さな入り口があり
それをくぐる、そこには長い長い二本の線の通路、そこには長めの
細いトロッコがある、トロッコの前にはハンドルがあり、回すと
動くようだ、カルとメリルはスケルトンたちと一緒にそれに乗り込み、
彼らはそのまま上に向かっていく、スケルトンたちはせっせと
ハンドルを回して、辛い道を進んで行く、
スケルトンたちはせっせとハンドルを回してトロッコを進めて行った。
長い長い道のり、カルもハンドルを回そうとしたが、スケルトンに
なぜか止められた、そのまま暗闇を走り続ける、キーコキーコと
音を立てて暗闇の中を延々とトロッコは進んで行った
ギルドは今大騒ぎになっている、次代を担う冒険者の二人
(ギルドマスターはそう思っている)が、行方不明になったからだ
親心として、こっそりと別の上位の冒険者に頼み彼らを監視
させたのだ、即座に逃げ出した判断はよかったのだが
まさか、安全地帯と呼ばれている場所にあんな罠があったとは
その場所に行ってみて、調べてみたら何もない、
どこに行ったのかも解らない、探知に長けた冒険者に
彼らの行方を探ってもらったが、どこにも見つからない
ギルドマスターは、連日焦っている、そんな中、何日か経った後
城から連絡が、行方不明だったカル、そしてメリル、
それが城で保護されたと連絡があった、そして速やかに
来場する様に伝えられる、ギルドマスターは頭を抱えながら
(なんで城で保護されるんだ)秘書を伴って城に向かっていった
トロッコの中で座りながらカルそしてメリルは持って来た食料を
食べている、十日分以上の食料は中に入っている
先ほどから使っている、マジックバックはとある冒険者から
いまわの際に譲ってもらったものだ、自身の体積の十倍ほどの
量が入る、それなりに良い品だ、もっと良いものとなると
貴族の屋敷を一軒入れても平気なものもある
ただ、カルたちが使っているものは、時間遅延の効果がある
特殊な逸品だ譲ってくれた冒険者も大事に使っていた
食料はサンドイッチなら大体一週間くらいは持つ
食べれると言う事は、まだ一週間は立っていないということだ
一体どれだけの時間が過ぎたのか、暗闇の中ではわからない
抱き合いながら眠り、起きて食事をして、何とかお願いをして
トロッコの回しを交代しながら、上へ上へと進んで行く
やがて地下で見たような大きな空間がカルたちの前に広がる
トロッコから降りて、壁画の前に集まる、同じような作り
そして、また同じように台座の前に手を置く二人
ゴゴゴーと音を立てて二つに分かれる壁画、まぶしい光が二人を包む
そして、二十メートルほど先、目の前にいるのは、玉座に座った
国王と王妃だった
双方ともにらみ合いというか、見つめ合ったまま動けない
そんな中、おそらく貴族であろう男が叫びながら斬りかかってきた
「貴様、そんなモンスターを連れて、何をしているのか、そこになおれ
殺してくれるわ!」剣を出して斬りかかってきたが、カルの目の前
一メートルほどのところで透明な膜のようなものが出来上がり、
その男の行動を阻む、ガキンといい音がして男は無様に転がり
うめき声をあげる、その男を別の貴族の男が思いっきり蹴り飛ばした
蹴り飛ばされた男は「何をする、その無礼な男を成敗しろ」そう叫ぶ
だが、他の貴族の者たちは、彼を嘲笑う、男の前に国王が出てきて
彼に伝える、「この玉座の間では、刀剣類の所持が禁止しているはずだ」
そして「貴族であるならば、この王城に伝わる事も
理解していなければ、ならないはず、貴様は何をやっているんだ!」
国王は周りにいる騎士たちに声をかけて剣を持った男を捕縛させた
他の貴族達が不審に思い彼を調べる為に王に辞意を告げた、その姿を
見送りながら国王は軽く咳払いの後カルに話しかける
「驚いた、少年、君の名は、見ての通り私はこの国の国王グランダートだ」
カルそしてメリルは半パニック状態ながら、何とかこの国のギルドに
所属していることを告げて、ついでに迷宮の落とし穴に落ちて
このスケルトンたちにここまで連れてきてもらったことを話す
フムフムと話を聞いていた国王、すぐにギルドに連絡を入れるように
周りに伝える、貴族たちは次から次へと国王に辞意を告げて
玉座の間から出て行く、国王はあっさりとそれを許して
カルそしてメリルにこちらに来るように伝える
何人かの貴族と国王と王妃、そしてすぐ横にいる宰相
彼らの前でもう一度、自分たちのことを説明する
何か透明な膜のようなものがあったのだが、今はそれはない
何人かの者が玉座の間から壁画の間のほうに行こうとするが
何かに阻まれてる、そこから先に行けないようだ、そんな中
スケルトンたちが何やらトロッコから持ってくる、皮に包まれたそれを
国王の前でうやうやしく差し出し、周りが驚いてる中、王は警戒もなく
それを受け取った、スケルトンは王に何かを受け取ってもらった後、
カルそしてメリルに敬礼をした後、自ら開いてる窓の近くに行き、
太陽の光を浴び、そして灰となって消えた
最後に手を振りながら、指先でありがとうと彼に告げていた
国王も彼らに「感謝しよう」短くそう告げて彼らを見送った
もちろん他の貴族たちも
改めて国王たちからこの玉座の間のことについて聴き始めたカルそしてメリル
ここから王宮に伝わる太古の話が始まる
遥かな昔、この地は魔物の闊歩する危険な場所だった、それを人々を率いて倒し
この城塞都市を自分たちのものにしたのが、建国王グランダートその人である
スケルトンからもらったのは、神から授かったと言われる王剣グラン、
建国王である、その人はこのグランを用いて、そして、その名を持って
国の名前にした、そのことは二人ともよく知っている、この国の常識だ
幼い子どもなどは王様がグランを持ってお仕置きしに来るよなどと
躾けられるぐらいだ、そんなこと思ってると、衝撃的なことを言われる
国王は建国をした後、行方不明になったと、歴史書では見事な施政を行ったと
書いてあったが、どうやらグランダート初代王はこの迷宮の謎を解きに
グラン迷宮に、何回かに分けて、調査を行い挑んでいたようだ、最後の調査の前に
“この玉座の間の壁画から出てくるものには、絶対に敵対してはならない”
これを絶対に守るように言い伝えられていた、その後の調査で初代王は
死亡したらしい、あそこで守っていたのは王の近衛かもしれない
そんなふうに話をした、結局、謎は謎の儘になり、ここから見える二本の線
あれは何だったのか、未だ、解らないのだ、だが国王は言う、「君たちの
その格好、それは間違いなく、この壁画に乗っているものだ
とりあえず、あの奥に見える、巨大な長いものに近づいてみたらどうだ
巨大な龍のような、あれは、もしかして走るものか、フムフム、どうやら
私たちでは、そこを越えていくことはできないようだ、頼めるかな」
壁面から先に進もうとしても、進めず国王は二人に話す
国王にそう言われて、否と言えるわけもなく、近寄ってみる
おそるおそる近寄って行くと、まず、大きな台座、自分の身長の三分の一の高さ
すぐ横には、そこに昇る階段がある、その階段を上ると、巨大な物体の先頭
台座はかなり大きく長く続いている、台座の横には前述した巨大な物体
すぐ横には円が書いてあり、それが二つある、中に十字が書かれてあり
その十字はよく見ると文字が連なっている、それは、ほのかに光り輝く
どうやらその二つの円の中に入れと言うことらしい、心を決めて
二人、その円の中に入る、その途端に二人の姿が消えた
二人の姿が消え、驚き焦る国王たち、その時、壁画の間と
玉座の間を隔てる見えない障壁が消えて中に入れるようになった
わっと押し掛ける国王たち、その時どこからか声が聞こえてくる
「ええっ なにこれ、ここどこ、あれ、 」カルの声が響く
「いやぁ 服が消えてる カル こっち見ちゃだめ! 」メリルの声も響く
「お二人とも、よくお似合いです、これからよろしくお願いします」
全く知らない、第三者の声が響く、男なのか女なのかわからない声
今で言う機械音声だ
「どういうこと、ここは一体、 」少年の声
「落ち着いてください、ここは迷宮列車の中、操縦席です
オペレーター貴方の名を教えてください」
どうやら敵意はなさそうだ、話を聞いていた国王たちも
安堵する、そのまましばらく彼らの会話が聞こえてくる
要約するとこの列車が作られたのは五百年前
前から住んでいた者たちと魔物たちの戦いがあり
廃棄された場所だった、もともと迷宮探索のために
作られた列車だったそうだ、名前がないのは不便だということで
便宜上、そしてやっぱりこの国の初代王の名をつけるのが
適切だと思ったのでカルは、グランダートはどうだろう
そう彼に提案する、彼は自身のことをこの列車に搭載された
コンピューターだと言う、最もカルもメリルも、もちろん国王も
それが何なのか分からないが、敵じゃないならいいか
そう単純に考えた、中でいろいろとカチャカチャとやっていたようだが
どうやら中に住み込みでいられるような状況らしい
そこまで聞いたところ国王は大声で聞いてみる
「私の声が聞こえるのかな、君たちは大丈夫なのか」
その声が操縦席の中にいるカル達に聞こえてくる
カルがその声に応え返事をする、 「はい王様、大丈夫です
中にもう一人?いるのでいろいろと話を聞いてました」
王様はそれに向けて話す「君たちの声はここにも聞こえていた
まさか建国前から迷宮攻略の場所があるとは思わなかった
もともとここは王城ではなく迷宮攻略の前線基地だったんだな
歴史書を書いているものが聞けば泣き出しそうだ
初代はなぜ、これを知っていたのか、謎は深まるばかりだが
まぁ、とりあえず君たちが無事なら良い、戻っておいで
すこし話が聞きたいし、何よりも君たちも疲れているだろう
休みなさい、休む場所は用意しておこう」王様の気遣いに
ありがたく思いながら、グランダートに戻れるように
お願いする、だがグランダートは王様と話をした後
また戻って欲しいと言ってきた、眠りながら
この迷宮列車のことを覚えられるそうだ、その話を聞いたあと
王様のもとに行き、これからのことを話す
王様にも、さまざまなプランがあって、色々と話す
しばらくは、このグランダートの中にいて生活することに
なりそうだなぁとカルとメリルは思っている
玉座の間のすぐ横、壁画の間からステーションと呼び名を変え
その場所に椅子とテーブルが持ち込まれて、そこで二人は食事をする
食事は王族のものと同じ、きれいなメイドさん達に給仕されて
緊張しながらも美味しい食事を楽しむ二人、真っ暗な闇の中から
いきなりきれいな王城に入り、戸惑う二人、だがこの先
わくわくするような、冒険が待っているようなそんな高揚感がある
食事が終わり、きれいなメイドさん達にお礼を言い、ちょっと幼めなり
メイドにカルは抱きつかれてわたわたしている、メリルはというと
他のお姉さんメイドに抱きつかれて撫で撫でされている
メリルはちょっとお冠、嫉妬全開にしているが、お姉さん方になだめられて
落ち着いた、カルはなんとか小さなメイドさんから逃げ、グランダートに
メリルの手を引っ張って逃げ込んだ
「ブーブーブー」と小さなメイドさんは文句を言っていたが
他のメイドさん達にちょっと怒られて、片付けをしてその場を去って行く
そんな様子をこの国の王子様とお姫様は紅茶片手にのんびり見学
二人と、ちょっと話をしてみたい、そんなことを思って、この玉座の間に
来たのだが、この王城のトップメイドに挟まれている二人を見ていると
何もできずに終わった、また近いうちに来て話そうねと兄妹仲良く
寝室に向かっていった
グランダートの内部で、コックピットのすぐ後ろ、そこには家族四人は
暮らせるほどの設備が整って二人を迎えている、少し大きめな風呂、
今までの宿屋暮らしとは比べものにならないほどの設備、
そのすぐ後ろの車両には、スケルトンが眠っている、
その車両は側面に大きな窓が取り付けられ、大きな
カウンターテーブル、大きめの椅子が設けられてその横には窓にくっつくほどの
テーブル、そして椅子、現代のブルートレインの食堂車のようになっている
その食堂車の真ん中の廊下に白いコック帽をかぶったドクロ、髑髏
その後ろに骨格が並んでいる、二人はそのドクロを見ているとカシャカシャと
音を出して、それはスケルトンの形となった、どこからともなく、真っ白な制服
ネクタイを、しっかりとズボンをはいてベルトを締めて、ドクロではなかったら
立派なコックさんの出来上がりだ、そのスケルトンのコックは二人に見事な
礼を決めて、即座にカウンターテーブルの奥に入りお湯を沸かし始めて
暖かい、コーヒーを入れてくれる、いったいどこから取り出したのかわからない
ケーキを一緒に出してくれる、そのスケルトンのコックは紙を取り出して
自分の名前を紹介する、名前はアルベルト、そう呼んで欲しいとカルとメリルに
お願いする、今まで散々スケルトンと話?をしていたので特に問題もなく
二人はコーヒーとケーキを美味しく頂き、またコックピットに戻る
交代でお風呂に入り、これは言わない方がいいよねと二人決めて
グランダートと話すと、最初はコックピットで眠ってほしいとお願いされ
二人横にある毛布を取り出して(グランダートにいろいろと教えてもらった)
このまま眠りにつく、眠りについたとき二人はこの列車の追体験を見る
それは長い長い物語だった、起きた時に二人は涙を流しながら、これから先
グランダートと共にあることを誓った
グランダート、そう呼ばれている彼、彼は作られたもの、本来の名前は
ミリアム・ドール・カルバール (百万の敵を殺すもの)と
最初に名づけられた名前がある、今グランダートは自身の名前を気に入っている
物騒な名前ではなく、二人の少年少女に付けられた名前
人々のために戦い勝ち取った国王の名前を誇らしく思っている
もともとは現れてしまった、宇宙から飛来したもの、それに対抗するために
作られたロボットだった、それは何十体もいて、複数の名称はゴーレムと呼ばれる
シャレが効いているのか、わからないが、その飛来したもののために
彼らは作られた、彼らを作るほどの科学力と武力を有していた、かつての人類
長く続いた平和と、緊張があり、その外宇宙の飛来者に後れをとった
彼らは、巨大な隕石に乗ってやってきた、破壊を試みたが失敗、
普通であるならば衝撃が来るはずだが、やってこなかった、
自然現象をねじ曲げたのだ、そこから何かガスのようなものを出し続け
動物たちを変化させた、鳥は凶悪な今で言うワイバーンに変化し
馬は人を突き殺すユニコーンに変化し、猿は女性を襲うゴブリンに変化し
豚はオークに変化し、なかには自然に合成してドラゴンやフェニックスに変化する
それは人類に対して完全な敵対行動を取り襲いかかってきた
万物の霊長を誇っていた人類にとって、青天の霹靂
必死になって攻防を続け、ようやっと五分五分の戦いまで持ってきた
そこで投入されたのがゴーレムである、長い長い闘いの後
決死の作戦が始まる、最初に飛来したもの、ファーストデビルの名を
冠した彼を殲滅することを決定する、いくつものゴーレムを使用して
ファーストデビルが隠れた場所に巨大な基地を作る、それが現在の
迷宮国家グランである、ゴーレムに穴を掘らせて、その中心たる
ミリアム・ドール・カルバール 彼を改造して列車にする
様々な機能を盛り込み、武装列車として掘らせた穴を突き進む
それを良しとしないファーストデビルはその穴から様々に
場所を変化させて対抗したが、人類の科学力はそれを凌駕して
彼のすぐ一歩手前まで追い詰める、ファーストデビルは
その手前の道を塞ぎ対抗し続けた、やがて双方とも
その力は尽きてゆく、無念に思いながらも、その戦いは膠着し
一人の科学者が一つの仕掛けを施して、城砦から人々は
消えた、ファーストデビルはその場所に
二度と自分が脅かされないように魔物を集めたが
初代の王が、科学者の子孫にもらったグランを持って
その魔物たちを蹴散らし、国を作り科学者の遺言を
ファーストデビルのコンタクトを取ることを守るように
遺言を残して、迷宮で息絶える、そして
いまグランダートと名を変えたミリアム・ドール・カルバール
彼は復活、王国は少しずつ変化が訪れる
そんな長い物語を二人は夢を見る、そしてこのグランダートの
操縦方法も、どのように使うのかも、グランダートは最終地点で
惜しくもファーストデビルと引き分ける、それは敗北と取られ
彼は前線を外れることを余儀なくされる、彼自身を
操縦していたオペレーターは彼のすべてを操ることができなかった
それが敗北の原因なのだが……彼は己の敗北を認めず
グランダートのせいにして難を逃れ逃げ去った
城の中にいたグランダートは長い時を過ごす、彼の力を
百%発揮できる人間を待ち続けた、
そして今まさに、彼の力を百%発揮できる人間が二人現れた
少し幼い恋人同士である二人、二人に希望をのせて
グランダートは長い年月を想う
最初の日から三ヶ月が経つ、グランダートのオペレーターである
カルそしてメリル、二人はせっせとグランダートに魔力を溜め
出発の準備をする、その間に訓練をして魔力を伸ばすように
頑張る、城にいる人たちとも仲良くなり、貴族の人も
二人には、優しくしてくれる、ここら辺は国王にきつく言われている
ギルドのマスターもちょこちょこと城を訪れて二人には気を使っている
グランダートの情報も、どんどん漏れ始めて目端の利く商人も
儲けのチャンスとばかりにワクワクし時折城から出てくる二人にも
いろいろと便宜を図ってくれる、国が一体となって二人を英雄と
認められる雰囲気ができていた、そんな中、国王の息子、娘とも
仲良くなり、「動き出したら最初に乗せて」などと約束し
穏やかな、日々が続く、その中ギルドから朗報四十階層を突破したところ
駅が出現、その近辺は穏やかな海、迷宮の中に海、最初に聞いたところ
発見者の頭を疑ったが、水晶の映像を見せられて納得
駅の周り半径百メートルは完全な安全地帯と認められ、国王の
「オレも行くぞぉ」と気合を入れ宰相に止められ大げんかに発展
かねてから、列車に乗りたかっていた二人の子供も王に味方して
ついでに王妃も参戦し宰相や他の貴族を解伏せてなんとか
最初の発進に乗り合わせることができるようになった
後はカルとメリルの魔力充填が完了すれば発進できる
だが二人とも内心では焦っている、なかなか魔力がたまらずに
発進の期間が延びているのだ、どうしたらいいか誰にも相談できない
思いあまってグランダートに愚痴をこぼしてしまう
グランダートから感情の高ぶり、それが魔力充填のキーだ
そう教わり、もっと早く教えて欲しかったと愚痴をこぼした
そんなこともあって、訓練をしていたときは疲れ果てて
すぐに眠ってしまった二人だったが、今は少し休めと
周りから言われて休暇中、ここ最近イチャイチャすることもなく
少し寂しいと思っていた二人、当然のごとく恋人同士なら
当たり前の行為に初めてを迎えてしまう、グランダートの中で
睦合い、朝起きて軽くシャワーを浴び、コクピットに入ると
今まで、燃料計の十分の一しかなかった魔力がその一日だけで
半分までたまった、驚く二人、なんとか誤魔化すために
嘘八百を並べ国王にもう少ししたら発進できると報告する
二人の様子にそれを察した国王たちは生ぬるい目で彼らを見つつ
「無茶はするなよ」と忠告をしつつ、さらにカルに「女の子は大事にな」と
追い打ちをかけつつ笑って彼らをねぎらった
もちろん王妃やその周りにいた男たちのニマニマと笑いつつカルの背中や肩を叩き
メリルは近くにいるメイドたちに「体は大丈夫」などと気づかわれ顔を真っ赤にして
縮こまっていた、その場でキョトンとしているのは二人の子供、王子と姫だけが
分からなくてORZのメリルの頭をなでたりカルの足に抱きついたりしていた
そんな中、緊急事態、魔物が攻めてきた、数は多くないがそれでも五百以上
その伝令を聞いたとき、カルは即座に立ち上がりメリルの手を引いて
グランダートに乗り込み、彼に状況を伝える、グランダートも数そして方向も
把握して、発進準備を行った、後はカルとメリルの魔力次第
発進前に慌ててを国王は乗り込み他の王族も乗り込んだ
完全な発進前の準備発進と言ったところでメリルは気合を入れた
彼女はグランダートの攻撃要員、魔力砲の砲撃手でもある
数人が乗り込んで、まずはお手並み拝見といったところで
城壁の途中まで来てグランダートを固定、メリルの魔力砲
メリル砲が火を噴き国王たちの目の前で魔物達を殲滅した
その一件からグランは大きく歩みはじめる
迷宮列車はその破壊力と安心感からたくさんの人に
利用されて、発展を続けて行く、それが
どのような未来につながるのか
それは誰にもわからない、ただ、これからも迷宮列車
グランダートは走り続ける、カルとメリルを乗せて
たくさんの人々も乗せて
FIN
はい、いかがだったでしょうか、初の試みの作品ですが
私としては全力で書いた作品です、この作品は
まだまだ改良の余地はあると思いますので
中編くらいの連載をしたいと思っています
一応ネット小説大賞短編に応募していますが
どうなるか分からないので、とりあえず保留します
お読みいただきありがとうございました
by なろうダー タケゾウ