18 おつかいぎつねと おやと子で
つよがるおばけの いいぐさに
おいなりさんの あとつぎさん
にこりとわらって いうことにゃ
「じゅふをつくるの たのしいて
ウチのおとうはん はりきって
ぎょうさんもたして くれたんや
えんりょせんとに おあがりやす」
いうなりつぎつぎ つくりだす
ひかるしめなわ そのかずは
しじょうごじょうと ふえていき
ろくじょうひっちょう とおりすぎ
はっちょうこえれば とうじみち
くじょうおおじで とどめ ・ さす !
おばけのまわりを くるまざに
やりとへんじた しめなわが
おばけめがけて つぎつぎと
かたにあたまに うでにはら
あしをつらぬき あなうがつ
かげをかためて つくられた
おばけのからだも あなだらけ
あまりのいたみに のたうちまわり
みみをつんざく ぜっきょうあげた
これではとても かてやしない
せめてにげきり ちからをつけて
いつかしかえし してやるわ
くろいおばけは ねらいをかえた
わるいことなら だいとくい
おかっぱねえさん ひとじちに
つかまえてやろう そうしよう
ずいぶんちぢんだ くろおばけ
そのみがゆらりと ほどけてのびて
つくったからだは くろいへび
おかっぱねえさん つかまえに
くさにかくれて あしもとねらう
「なめてもらっちゃ こまるわね
けんかはいちばん とくいなの」
ふんすとおおきく はなならし
ぶんなぐりじょうずな おかっぱさん
だいじょうだんに ふりあげた
ひのきのぼうは おいなりの
れいげんあらたか はじゃのつえ
どこぞのゆうしゃも だいぜっさん
ばけものたいじの ひつじゅひん
こんどばかりは にがさぬと
けんかじょうとう みだれうち
りょうてでつえの はしをもち
なぎなたのように ふりまわす
あたるをさいわい おばけをけずり
ふみこみ つくは やりのいちげき
「ちょっとなんなの このオバさん
わたしをぼうで ぶつなんて
わたしのからだは かげなのに
なんであたるの このバケモン!」
そんなおばけの すぐよこに
おいなりさんの あとつぎさん
おともたてずに ちかづいて
「ひとのおかあはん つかまえて
バケモンとはよう いいますなあ」
おいなりさんの あとつぎさん
ほそめたおめめの そこびかり
えたいのしれない おぞけがはしり
へびのからだも あとずさる
よるのしじまを きりさいて
ひときわひびく よこぶえに
めにもとまらぬ ちびぎつね
ひぃふぅみぃよぉ いつつにわかれた
ながくおをひく ちいさなひかり
いくどもいくども ぶつかって
へびをつらぬき かじってけずる
みるみるちぢんだ かげおばけ
「おなかがすいてて つらいのに
いったいなんなの あんたたち
よってたかって いたぶって
しんでからまで じゃまするの?
そんなにあたしが きらいなの!?」
わるいことしてると きらわれるよね




