17 ほいならうちは まじないや
「りゅうてき(龍笛)」というのは
「むかしからつたわる にっぽんの よこぶえ」です
じんじゃでも つかってるよ
えをかいたから みてね
「しで(紙垂)」というのは
「しめなわにぶらさがった、カクカクおれた紙」です
「やりのまたざ(槍の又左)」というのは
「まえだとしいえ(前田利家) っていう やりのめいじんの あだな」です
おんなどうしの たたかいに
こころをみだす こともなく
おいなりさんの あとつぎさん
たかくほそくに とおるこえ
はらいたまえ きよめたまえと かしこみもうし
どくのいぶきを うちはらう
たもとにてをいれ とりだしたのは
こしきゆかしき みやびなりゅうてき
いきをおおきく すいこんで
ひとたびとめた そのせつな
くちにあてがい ひょうとふく
よぞらにたかく ひびくねに
すぐさまふえから とびだした
てのひらさいずの ちびぎつね
うかの神さん おつかいの
こぎつねまるが おどりでる
ぴぃひゃら ひょうと なるふえの
おとにあわせて おをふれば
おつかいぎつねが あらふしぎ
みつよつ いつつと わかたれました
さんどうなかほど やみのなか
ぬるりとはえた おばけにむかう
いちのこぎつね きをけりとんで
にのこぎつねは ほのおをまとう
さんのこぎつね いしくれとばし
よんのこぎつね いかづちふるう
ごのこぎつねは こおりのいぶき
ちっちゃなこぎつね ばかにして
まっくろくろの おおおばけ
うねるかみのけ むちのよに
こぎつねたちを たたこうと
しほうはっぽう ざわめかせ
ごうとおとたて みだれうつ
しなるかみのけ かいくぐり
みをひるがえして つぎつぎに
おばけのまわりを びゅんととぶ
こぎつねまるの そのはやさ
ふえのねいろに あわせてとんで
おばけにかみつき かじりとる
くるまもでんしゃも かなわない
かぜよりはやく とびまわる
めにもとまらぬ ちびぎつね
ぶつかるたんびに かじられる
まっくろくろの おおおばけ
えだにたたかれ
ほのおでやかれ
いしのつぶては あめあられ
いかづちそのみを つらぬいて
てあしをうがつは こおりのつらら
せっかくあらたに くみあげた
そのみをはしから けずられて
まっくろくろの おおおばけ
たまらずもんくが とびだした
「しんじらんない なにこの子
かわいいかおして えげつない」
「そこがええわと ひょうばんで
ほめことばやわ うれしぃなァ
ほんにあねさん ありがとォ」
おめめもおくちも ゆみなりに
おいなりさんの あとつぎさん
にこりとえがおで いいはなつ
つづいてとりだす じゅふのたば
ひとつくわえて いんをきり
といきとともに ふぅとふく
つづれにおれて へんじたじゅふは
ひかりをたばねた しめなわに
ついとならんで しでとなる
おいなりさんの あとつぎさん
ひかるしめなわ てにとって
やりのまたざも かくやのごとく
ねらうはくらき じゃきのぬし
やみうちはらい ごうととぶ
あしきをふうじる しめなわは
さすがのおばけも にがてなようで
しょくしゅのように うねるかみのけ
めっぽうかいに ふりまわし
なわからにげよと みをよじる
やみのしょくしゅと しめなわと
どんとぶつかる そのときに
やみのしょくしゅは ちりときえ
のたうつかみたば あながあく
けたばのひとつを みがわりに
しめなわのがれた くろおばけ
あせるきもちを かくしてわらう
「きあいのはいった おもちゃだけれど
ざんねんでした おつかれさまね
わたしはこんなの へっちゃらよ」
えむぴーと ちりょくで なぐるの




