12 どんどんどんぐり おにはそと
いっぽうそのころ 島にある
ちんじゅのもりの おやしろに
どんどんどんぐり 男の子
まもってくれろと たずねきて
とうさんかあさん うちそろい
神様たよりに やってきました
「村のちんじゅの 神様に
おんねがいをば たてまつる」
わたのはらから やそしまかけて
わきめもふらずに かけもどり
ちんじゅのもりの おやしろで
ちっちゃなちっちゃな 神様が
むかえうつのは おおおばけ
どんどんどんぐり 男の子
たべてやろうと ついてきた
まっくろくろの おおおばけ
神社にいれて なるものか
ぱらりぱらぱら どんぐりこ
どんぐりつぶてで ぽんつくてん
「やめてこないで あっちいけ
うちの島から でていって!」
ちっちゃな神様 ふるえつつ
どんぐりかかえて たちむかう
おおきな神様 つかわした
たすけがくるまで まだかかる
ここにはぼくしか いないのに
うじこのまえで おびえてちゃ
にきゅうになんて なれません
るすばんしてる おやしろに
おおきなおばけが きたならば
ちっちゃな神社が つぶれちゃう
ちっちゃな神様 なみだめで
みんなをまもろと かけまわる
ふくらむしっぽも ぶんぶんと
ちっちゃなおててと そのあしで
ぐるぐるぐるぐる かけまわる
おめめもぐるぐる まわりそう
いっぱいあつめた どんぐりこ
ぱらりぱらぱら おにはそと
やめてこないで おにはそと
ちっちゃなりすの そのゆびで
おにはそとったら お に は そ と ----!!!
ちっちゃな神様 せいいっぱい
しにものぐるいで どんぐりなげます
ぱらぱらぱらり ぽんつくてん
おばけのみえない とうさんと
やっぱりみえない 男の子
ふたりそろって ふしぎがお
なんでこんなに どんぐり ふるの?
おさげのねえさん にがわらい
「ここの神社の 神様が
あんたをまもって くれてるの」
そこへひびいた かろやかな
けいたいでんわの ちゃくしんおん
てんてけすちゃらか すってんてん
まいしゅうおおぎり たのしみな
おわらいばんぐみ てーまきょく
おさげのねえさん ぽっけから
とりだしひらいた そのときに
ふわりとながれる さわやかな
風があたりを ふきぬけます
とりいのむこうの おおおばけ
すてきなかおりの かぜをうけ
「あらやだなあに? このかぜは
きにいらないったら ありゃしない」
したうちしながら かおしかめ
神社のなかまで はいれずに
さんびゃくろっけい とりいから
もりのむこうに にげました
いまいましそうに にげだしました
「しばらくそっちに いかいでいたら
あにさんえらいのに すかれたなあ」
「ウチとおかあはんが いくよって
あすまで あんじょう おきばりやす」
どんどんどんぐり 男の子
けいたいとおして たのもしき
とししたいとこの こえきいて
ふわっと きもちが らくになり
どれほどからだが よわっていたか
いまごろきがつく ていたらく
ちっちゃな神社の はいでんで
あすのあさひが のぼるまで
おいのりしながら ひとばんじゅう
たのみのつなは ごくぶとの
おばさんおやこを まちわびます
きょうことば(ふうみ)
ほんばのひとが なおしてくれたら うれしいなあ




