表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導警察ゴーレム  作者: 恵乃氏
62/67

ふたりの戦い:その7

「スズナリぃィィイイイッッ!!」


わたしは、突撃した。

過去と違う。

意識はあった。

理性はあった。


わたしの意志で、鈴鳴琳之介を殺す為に、突撃した。


全身を蝕むリジェクトの魔法を、右手のみに集中させた。

激痛がクローの形を作り、鈴鳴の仮面をとばした。


彼の顔があらわになる。

人の腕を咥えながら、悲しそうな顔をする。


……そんな顔をするな。


そんなひどいことをして、そんな辛そうな顔をするな。

「ーースズナリぃ……っ!」


彼は腕を吐き捨てた。

飛び散った血が、形をなして、わたしの首元を狙う。

掠らせながらも、ギリギリで回避した。

防御にリジェクトを使っていられる余裕はなかった。


踵から刃を伸ばし、空中で前転する。

血潮が飛び散り、互いの鎧を濡らした。

「……っ、う、アアっ」

鈴鳴が呻く。

するとたちまち、彼の傷が癒えてゆく。


「っ、ガァッッ!」

鈴ナリが、わたしの首を鷲掴みにした。

首の骨をオランばかりの力で握りしめて、わたしをコンクリに叩きつける。

みしみし、と、音がして、視界が点滅してきたところで、リジェクトが勝手に動いた。

スズ鳴の腕に絡みつくと、一瞬にしてバラバラにする。


「どけェッッ!!」

チカラを胸の前で集中させる。

覚えのある戦い方。

「弾けろ!」

大きな爆発が起こり、スズナリが弾き飛ばされる。


散ったリジェクトの粒子が、彼の鎧を溶かした。

また、わたしの鎧も、大きくひびが走った。

受け身すら取らず、地面に打ち付けられた彼は、すぐさま、爛れた皮膚と、全身から溢れる血液を見せつけるようにして立ち上がった。

わたしも、ダメージを誤魔化し、立った。


スズナリが、わたしを睨む。

受け入れてくれるといったじゃないかと、睨む。

愛してくれるといったじゃないかと、睨む。


言葉ではない、ただ、その血涙と、口から迸るてらてらとした血液は、鋭く語る。

ありもしない記憶を、まるであったかのように、雄弁に語る。


「さフ、ぁ」

とうとう、一言。

「さふぁ……」

言うと、鎧も、体も、治癒してゆく。


全身から煙が上がり、その白に押されるようにして、彼は四つん這いになる。

動物のように。

「さぁ、ふぁぁぁぁ……ああああアアアアアッッ‼︎」


そして、飛びかかろうとした、その時だった。


発砲音。


スズナリの、頭の半分が、見事に消し飛んだ。


……それが、効くはずもない。

「な、ぜ、なんで撃った⁉︎」

その狙撃は、正確ではあったが、スズナリの警戒心を高めただけだ。


だが、それで、終わらなかった。

続けて、周囲から、二発、三発。

幾度となく発砲音が響き、彼を貫いてゆく。

「ぁ、ぅ」

小さい悲鳴。


嫌な予感がした。

ふと、彼の足元を見ると、血の水溜りができていた。

そしてわたしは、さっき、血を固体化し、攻撃する彼の姿を見ていた。


嫌な予感は、確信に変わる。

最悪の未来が、()()()


「……やめろ、やめてっ!」

スズナリが咆哮した。

手を伸ばすけれど、きっと、これは。

「鈴鳴……!」


そして、彼の足元の血溜まりが、刃と成る。

四方八方に、乱雑に……否、正確に、弾丸の飛来してきた方向へ、弾より早く、刃を飛ばした。

それは遥か、人の反応速度を上回る。


瀕死の彼の、火事場の馬鹿チカラ。


ついに、人の、生物のリミッターが外れた証明。


リジェクトも届かない。

リジェクトも、間に合わない。


……血の香り。


「ぅえあ、ふは、ははぁ」

彼は、ついに、壊れた。

もう、帰っては来ないだろう。


もはや、精神の限界だったのだ。

わたしに向き合っていたから、精神を保てていたのかも知れない。

それが、ほんの、横槍で。


「……鈴鳴。鈴鳴…………!」

空な目で、力なく。

立つ。

立った。

彼が、治癒もせず、立ち上がった。

「答えて……!」

「サファ」

それは、今の彼にしては、あまりにも綺麗な発音。


「サファ、あいあおう(ありがとう)

彼の傷口から、力があふれる。

血が、力になって、武器になる。

おいえ(そして)はおはら(さよなら)


安全な場所が、見えた。


盾として、リジェクトを展開する。

防がねばならないところのみ。

だが、針は、そのリジェクトすら貫通する。


「……つ」

横腹に、一発。

突き刺さった。

完全に、一瞬、拘束された。

彼の殺意が、わたしの命を狙う。


「ボサっとしてるな!」

サリーの声。

直後、魔法の、雨、霰。

スペランツァと、サリーの攻撃が、彼を貫いた。


「早くそれを抜け!さっさと動け!戦えっ‼︎」

腹に刺さった針を叩き折ると、一思いに引き抜いた。

彼が、再生を始める。


「時間がない、今決めろ!使えっ!!」

サリーが2枚のチップを投げた。

受け取ると、それは、ケンタウロス・モーブと……ユニコーン・モーブの。


「……サリーっ!」

「早く!」


この瞬間……もう、諦めた。

「くそっ」

魔法陣を二つ、展開した。


チップが真っ白に変色する。

「……SET」


ランスが生成。

足に、魔力がこもる。


「鈴鳴」

「サファ」

「ごめん


……RESET」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ