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魔導警察ゴーレム  作者: 恵乃氏
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愉快なバディのビル消失:Third

「本当に、任せて大丈夫ですか?」

 マンホールをこじ開け、警官3人とともに暗闇の中に降りようとするスペランツァは、サファの問いかけに笑顔で答える。

「安心して……!うちだって……何も考えてないわけじゃないの。そもそも……こんなことができる魔物だったら、こんなところに居られるわけないし……犯人がいたら……とっちめてあげる」

「……わかりました。よろしくお願いしますよ」

「任せて……!」


 さて、地上に残されたわけだが。

「どうしましょ」

 どうしましょ、ってお前……とりあえず、手がかり探してみればどうだ。

「そうは言っても、こんなぺったんこじゃ何もできません……なんの魔物が起こしたのかすらわからないのに、どうすればいいんでしょうかね。そもそも、なんの魔物かがわかったところで、どこにいるのかすらわからないんじゃ、リビングメイルの許可が出てても、腐るだけですし」

 ……あ?

「……え?」


 まさか、サファお前、気づいてないのか……マジかァ……。

 しょうがない、ちょっとじっとしてろ。

「はい?」

 状況が飲み込めないサファをほっといて、彼女の中で、ぐるん、と回る。

「うにゃ!」

 キオクの中を、漁る。

「うにゃん!」

 ……見つけた。

 サファ〜、聞こえるか〜?30秒だけ動くなよ〜?

「うにゃにゃにゃにゃ」

 こらバカ!動くなっつってんだろ!

 ああ、もう!切れちまった、最初からじゃねえか!

 だからッ……動くなっ!

「にゃーーーー!」


「なんだったんですか急に……結局とんでもない時間変な踊りさせられたんですけど……っ!ああもう、周りの目が痛い」

 お前が無駄に動くからだろ。

「……で、わたしは何をされたんですか?」

 ああ、サファ、お前みたいな自分のチカラも理解できない奴もちゃんとわかるようにしてやった。

 ……reset skill


 キオクを描く者たち(チート)



 瞬間、チカラが視界を覆い尽くすように花を咲かせ、拡がり、描き。

 開。

 開開開開開開開開開開開開開開開ーー!!


「……地図?」

 そう、地図を、編み上げた。


 これがお前の、チカラ。

 この世……いや、むこうがわ、お前が生まれ育った世すらも描く、無限の地図。

 この地図は、サファ、お前と、そして今、一心同体となっているあたしにしか見えない。

 お前だけの、スキルだ。

 特別に視認できるようにしてやったんだ、感謝しろ。

「でも、使い方がわからないんじゃ、何も……」

 たじろぎながら、サファが言う。

 つまり、とまとめるが。

 こいつはこれほどのチカラを直感で使っていたことになる……ある意味、天才的だな。


 だったら、使い方も教えてやる。

 例えば……そうだな。

 検索、ゴーレム。

 そう地図に言えば、無数の赤い点が、地図に表示される。この点は、今、ゴーレムがどこにいるかを示している。

 検索を変えてみようか……ヒューマン。

 すると、点の位置が変わる。

 現場を慌ただしく動き回る警官も、地図に表示されていた。

 だいたいわかったか?

 じゃあ、今度は……。

 ゴーレム・モーブ。

 点がぱったりと、消えた。

 これは、今どこにもゴーレム・モーブがいないことを表している。

 姿さえわかって仕舞えば、ほとんどわかる。

「……あれ?」

 どうした?

「いいえ、気のせいでした……どうぞ、続けてください」

 そうか。

 さて、じゃあこう言えばいい、とも考えるだろう。

 今回の犯人。

 それを言った途端に、赤く文字が表示される。

『error』

 わかったか?自分が、検索したそれを、明確にわかっていないと表示されない。

 こんなとこだ。

 ただ、こんなことはできる。

 そうだな……ケンタウロス・モーブ

 赤い文字が消え、地図上に何も表示されなくなった。

 お前が今思い浮かべたのは、黒いケンタウロスだ……そう、だから、個体さえわかっちまえば、少しは楽になるってことだ。


「へぇ、そんな便利な能力もあったもんですねぇ」

 へぇ、ってお前、他人事みたいな……。

「これって、過去のやつも呼び出せますかね?」

 ……は、実物みたことないだろうが。無理に決まって……。

 って、は?

「できた!」

 出来ていた。

 想像以上に使いこなしてやがる……!

「しんしゃ、考えますよ……って細かくは指定できないんですね。消えた瞬間は写せなさそうです。じゃあ……消える前だったら、表示できました」

 消えたビルと、その周辺が拡大して表示される。こうしてみると、意外と……。

 大きい。


「これで、目撃がなかったんですか……ああ、この時点で人払いが出てるのか、ビルの中以外、一切人影ありませんね。直前の時間で止められたっぽいです。ええっと、大体の人払いの範囲は……え、うそ、3580メートル?」

 異常なほどに、広かった。

 ここまで広く、軽い意識改変、すなわち認識阻害が合わされば目撃情報がないのも納得いく……が、しかし。

「いくらグレードが落ちても、この範囲って……人間には到底無理ですし、魔物だったら朽ち果てますよ……!」

 ……人払いを使ったやつと、事件を起こしたやつは別と考えたほうがいいかもしれない。

「……一気に、モーブの可能性が高まりましたよ。もう、また」


 いいから考えろ……モーブなら、ろくな倫理を持たない奴らなら、これ以上の被害を平然とした顔でやりかねん。

「分かってます、分かってますけど!……ああもう、なんでこうも、一人も目撃者がいなかった……あれ、一人も?」

 今更何言ってんだ、早くしないと……。

「なんで……ビルの中の人が、一人も逃げられてないんでしょう」

 は?

「だって、変です。何百人も中にいたんでしょう?一人ぐらい生き延びてもいいはず……そもそも、周りに人が一人もいなくなった時点で気がついて逃げるでしょう……でも、誰一人として逃げられてない……もし、逃げられない状況だったら?すっぽりと覆われてたら?そのまま……飲み込まれたら?」

 つまり?


「さて、ネタばらしとしましょう!あのビルをすっぽり覆うほど伸びて、証拠を残さなくて、ビルでもなんでも綺麗に飲み込めて、でもこんなことできないような弱っちい魔物‼︎」

 おい、なんとなく分かったが、それってまさか。

「ええ、場所も特定済みです……今、マンホールの下、下水道に隠れて……ああっ、スペランツァ!もう……いきますよ、しんしゃ!」

 よっしゃ任せろ!あたしの体を思う存分に使ってくれ!

「あれ、しんしゃの体だったんですか!?って、駄弁ってる暇ないですねっ!待ってなさい!」


「スライム・モーブ‼︎‼︎」






今回はここまで

台風だ!雨すごい!

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