ちびっこ警官の引き継ぎ会:Third
うっすらと、目をあけました。
その赤いバイザーの中で、ゆっくりと。
……バイザー?
顔自体を触ってみても、変な耳当てのようなものと、目元を保護するバイザーがあるぐらい。ただ、一つ異変が。
明らかに身長が、高くなり、腰まであった髪は、二つにまとまれて結ばれてます。そして体には、ドレスのような鎧が纏われていました。
「え」
確認してみましょう。
わたしはハーフリングであり、成人しても身長の低い種族のはず。
「え、え」
ただそれなのに、人間の男性と比べてみても違いがないぐらいには、伸びていたのです。
「……えええええ⁉」
え⁉どういうこと⁉いや、うれしいですけども!でもこれは……ちょっと雑じゃないですか!しかもなんか体がごつごつしてますし、一体全体、なにがどうなって……。
その時は慌てすぎて忘れていました。
今目の前には、べらぼうに強いゴブリンが、それも二体いることを。
襲い掛かるゴブリンにやっと気が付いたのは、小刀が目の前まで迫っているときでした。
「うわぁっ!」
すんでのところで、なぜか回避できました。
反射的にはなったパンチが、ゴブリンの一体に突き刺さり大きく後ろへ突き飛ばします。そして後ろから襲い掛かるもう一体に回し蹴りを……ってあれ?
(もしかして、戦えてます?)
実は、まったく戦闘を経験したことがないのですが、それどころか警察に入って一か月なのですが、なぜだか脅威に対して対応できていたのです。それだけでなく、多分これは……。
「ボル・エーヒ……ガ⁉」
魔力が暴発しそうなほど、回復というか……限界を突破していました。
レベル1ではあふれる魔力を抑えきれず、慌ててレベル2に変えたのですが……すごいですね、多分レベル4使ってもおつりが来ますよ。どんなチートですか。でたらめ過ぎます。
「ガァァアアア!」
怒って飛び掛かるゴブリンに対し、先ほど生成した火球を投げつけます。
「らぁっ!」
がしかし。命中はしたものの……ただそれなのに、軽く燃え移っただけで、それだけでした。
なるほど、耐性が強いんですか。で、あればたぶん。と、後ろの蹴られて伸びているゴブリンの小刀を持ちます。そして、火球を当てられてひるんだゴブリンに向き合いました。
「えっと……倒しちゃだめだよね。ザン・エクレ・カレスドリ?」
ぱち、と閃光が瞬きました。
「よし……いける」
後ろへ短刀をかまえ、抑えます。ざっと踏み込み。
「よーい、ナクル・スオラ・カレスド!」
ゴブリンの横を、走り抜けました。
ゴブリンの頬をかすめた斬撃は、その一撃でゴブリンを気絶させます。
「ビリビリダッシュ……!」
よし、きまりました。
…………ださい?いえ、そんなことないじゃないですか。たぶん。
ていうか、レベル3じゃないと効かないって、ゴブリンの硬さじゃないですよね。なんなのですか、これは。
「モーブだ」
遠くから、女性の声と銃声が聞こえました。
放たれた銃弾は、彼女の足元で気絶していたゴブリンを。
撃ち抜きました。
「……!なんてことを!」
そんな声も聴かず、立て続けにもう一発響きました。しびれて倒れたゴブリンが、光になって消えます。それにわたしは、動くことさえできませんでした。
「うそ」
「モーブは魔物もどきに過ぎない。どうせここで消えたところで、なんら悪いことはない」
「でも……!」
「だまれ、ゴーレムもどき」
「え?」
「貴様もとっとと死にさらせ」
その女性は。
桐上隊長は。
持ってる拳銃のグリップに、チップの埋め込まれたマガジンを押し込みました。
『start livingmail』
「貴様の纏うその鎧を、ずっと探していた」
『open the 3rdWorld』
「やっと見つけた、その鎧。返してもらうぞ、持ち主の下へ!」
『ready……』
「set!」
『go!』
『model……B R A V E !!!』
桐上隊長の体に、わたしとは違った鎧が……ドレスが、纏われました。
「覚悟はいいか。歯ぁ食いしばりながら絶叫しとけ」
次の瞬間には、彼女の腕が腹に食い込んでいたのでした。
「かァっ……!」
「休んでる暇はないぞ」
脚が、わたしの脳天に振り下ろされます。今度は、悲鳴さえ上げさせてもらえません。
(だめだ、殺されちゃいそ)
たぶん、わたしがサファだと気が付いてないのでしょう。だったら、わからせなくては。
「話を聞いてください、きりか……」
「戦闘中に敵と話せと?私はそんなのんきじゃないんでな」
といって、後方まで蹴り飛ばされました。
だめです、聞く耳を持ちません。というか、それもそうです。むしろ、なんでこんな行動とったのでしょうか、わたし。
それなら、相手が相手でも対抗しないと!ボル・カレスド!と、至近距離で魔法を放ちます。
ですがしかし。
ほとんど〇距離で撃ったにもかかわらず、躱されてしまいました。まるで、飛んでくるほう方向がわかっていたかのように。
「ぬるい」
ガン、と頭に衝撃がありました。
遅れて、至近距離から轟音が。
轟音と衝撃は、続いで何発も。
「なるほど、物理には硬いのか」
「っつぁ……」
実弾を叩き込まれたことが理解できました。痛みは、ほとんどありませんでしたが。
撃たれたショックと、恐怖が、体を這いました。
「は、立つこともしないのか……そこでおとなしくしてろよ。一瞬で終わらせてやる」
そういって。
先ほどよりまさらに強い、拳の一撃が。
叩き込まれました。
今回はここまで
女性陣のメイルイメージはシンフォギアやらセイバーやら……まあなんでもいいです
ついでに最後ぶん殴ったのはあれです、あの……あれです。




