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別離  作者: 如月瑠宮
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優しいお義母さんを怒らせた

 初めて見た。


 私が結婚した相手の母親は『聖母』のような人だった。何時も穏やかに微笑んでいて息子の嫁である私にも本当の娘に対するように優しかったのだ。理想的な嫁姑だっただろう。

 この人が怒る事なんて無いんじゃないかと思ってしまう位に。


 でも、違ったのだ。

 義母も人間である。それを奇しくも証明してしまったのは実の息子である夫だった。


 夫が会社の受付をしている若い女と不倫をした。私よりも若くて綺麗な人だ。心無い人からはあれじゃ仕方無いよねと言われた位には。

 辛かった。両親や義母に何と言えば良いのか迷った挙句に私は何も言えなかったのである。


 最初にやって来たのは義父だった。義母とは違って寡黙であまり表情の動かない人であった義父は開口一番に息子である夫を叱った。言葉少なではあるが、息子の仕出かした事の重さを謝罪してくれた。それでもう充分ではないかと思える程に夫は萎れていた。

 だが、本当の嵐はこの後にやって来る。

 義父が来た翌日に義母が来たのだ。


 その顔を見た私は震えた。般若の面を着けているのではないかと思えるその顔は今もなお私の脳裏に焼き付いて離れない。

 夫とは離婚せずに再構築の道を選んだ。義父がこっそりと教えてくれたのである。私と義母は似た者同士だと。

 だから、私は義母と同じように般若の面を隠し持とうと決めた。理想を夢見ていた私とは別れて。

この話では離婚などはしてませんが、過去の自分との決別、別離という事でここに投稿しました。

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