一家離散の原因
※少々閲覧注意。
私は父が嫌いである。心底、血の繋がりを憎んでいる。何故ならば、一家離散の原因なのだから。
父は子供である私達が幼い頃から不倫していた。母はそれを知っていたが、自分一人では私達を育てられない事を理解していたのだ。両親が離婚する事は無かった。
家族として機能していない家庭だった。
それもどんどん崩壊していく。私が高校を卒業する頃には父は家に帰らなくなった。愛人の家に入り浸り、本来守るべき家族には僅かなお金を時々渡す。それでは生活出来ないから母は昼夜問わず働いた。そして、身体が激務に追い付かなくなった時に倒れてしまった。
それでも、父は帰って来なかったのだ。
一度崩壊してしまえば、止まらなかった。
私は大学を何とか卒業する事が出来たから働き出した。弟妹を養う為に朝から晩まで働き続けた。母はこんなに苦労して私達を育ててくれたのだ。だからこそ、許せない。
復讐してやりたいと思った。でも、そんな余裕は無かった。生きていくのに手一杯で辛い気持ちのまま過ごす日々。
解放されたいと願い続けた。その願いは届いたのか私は母と同じように倒れた。母と違うのは死は免れたという事。そして、だからこそ私は・・・
「復讐したいと思っても良いでしょ」
目の前には一応は父である男が居る。私は今、笑顔だ。引き攣った顔をしている父とは真逆で。
あぁ・・・私はきっと、この顔が見たかったのだ。
「大丈夫」
母さんの所には行かせないから。
完結にしますが、思い付いたら増えて行きます。