連合艦隊特殊参謀里井の考え
「ほう、その・・・違う次元というのはどこだね?」連合艦隊司令長官山本五十六の目は心なしか輝いて見えた。
「実は私はこういうファンタジーみたいな話が好きでねぇ。子供の頃よくじいさんから怪談とか、神話とか聞いたもんだ。」と山本は懐かしそうに話した。
その顔は連合艦隊司令長官の顔ではなく、少年の顔をしている。
里井はそんな山本のちょっとしたギャップに驚いたが、道理で自分が未来からきたというのをすんなり受け入れたわけだ。と思いつつ自分の仮説を話はじめた。
「自分の仮説はこうです。違う次元・・・というよりは『異世界』といった方が良いでしょうかね、我々が今生活しているこの世界とはまた別の世界があって、そこから何らかの理由によって土地ごとこちらの世界へ転移してきたと考えられます。」
「なるほど、それでは空母機動部隊の駆逐艦を攻撃したそら飛ぶ生き物とは?」
「それはドラゴン・・・いわゆる竜だと思われます。」
「ほう、ドラゴンか・・・」
「ええ。また、火炎を吹き出したというところから炎竜だと考えられます。」
山本は里井の仮説を聞き、
「そうか。その"炎竜"というのは迎撃可能なのかな?」と訪ねた。
これに里井は
「どうですかねぇ、鱗に覆われてる感じもするんですよねぇ。しかし零戦でも迎撃は可能だと思います。」と答えると、
「ところで、君は何故、異世界と呼ばれているものに詳しいんだい?」山本は話を変えてきた。
「私のいた時代の日本はそういった話の小説が多いんですよ。一度死んでこの世界から異世界へ転生する話や、異世界の国や土地が丸々この世界へ転移してくる話とかですね。」と里井が答えた。
「なかなか面白い。私も異世界について調べて見ようかな」と山本が冗談で言うと、二人は思わず笑ってしまうのだった。