プロローグ
1941年12月3日、大本営から「ニイタカヤマノボレ一二〇八」の真珠湾攻撃の暗号文をハワイへ向かっていた南雲機動部隊が受信した翌日の朝のことであった。
旗艦赤城艦上、見張りをしていた兵士が異変に気付いた。
「なあ、この先に島なんてあったか?」
もう一人が答える
「いや、ない筈だがどうした?」
「あれ見てみろよ」
その兵士が指差す方向には島のような形をした黒い陰がうっすら見えていた。
「とりあえず報告しておうぜ」
そう言って一人の兵士が司令長官南雲達機動部隊の参謀に報告しにいこうとしたそのときだった。
「おい、陰のほうから何か飛んでくるぞ!」
見ると大きなにかがこちらへ迫ってくる。
「と、とにかく報告しにいってくる!」
兵士が参謀達のとこへ報告へ向かった。
その直後だった。その何かは口から火を吐いた。その火は赤城を護衛中の駆逐艦を巻き込んだ。駆逐艦からは『熱い!』『助けてくれ!』といった将兵達の悲鳴が聞こえてくる。見張りの兵士は今起こっていることがよくわからずにいて、ただそれをぼうっと見ていた。
暫くして我に帰ると、すぐさま参謀達に報告しに行くのだった。