勇者ちゃん。赤服ちゃん。〜二人の邂逅〜
<とある民家>
「はぁ、今日も森は平穏ね。でも、何も変化がないっていうのもつまらないわね。ま、とにかく食料を確保しますかね。」
そう言って彼女は相棒であるシテガのレインにまたがり、昨日の夜に仕掛けた狩り用の罠を、確認しに行った。
「よしっ。今日はサニシキの雄か。なかなかの大物ね。」
ガサッガサッガサッピィー
「あれ?何かあったのかしら?西の方ね、王国との境だわ。また誰かが捨てられたのかしら?」
まぁ、どうせ死んでるけど・・・と彼女は思いながらも見にいくことにした。
<迷いの森 西端>
「あー今回は串刺死体かー。これは確実に死んでるな・・・」
「う、ぐ、はぁ、はぁ、はぁ。」
「え!?生きてるの!?」
「え、あ、人?」
「と、と、と、とりあえず連れて帰らなくちゃ!」
<再び、とある民家>
「大丈夫ですか?」
「あぁ、私はなぜか不死身らしいからな。」
「そうなんですか・・・でもどうしてこんなところに・・・」
「それを話すには長くなるが、説明しよう。」
かくかくしかじかうんたらかんたら
「なるほど・・・神々を信仰する文化があると本でよみましたが、信仰がすぎると神は怪物になってしまうのか・・・で、その者たちを退治するために勇者さんがいると。しかし・・・そんな理由で、この森に封印されるなんて・・・」
「それはもう、過ぎたことだ。ところで君はこの森以外のことを全くと言っていいほど知らないらしいが、何故だい?」
「あ、私は母が妊娠後にこの森に捨てられ、この森で生まれたのです。母は何年か前に亡くなりました。」
「そうか。この森を出ようと思ったことはないのか?」
勇者は少し急ぎ気味に言った。
「ないですね。特に不自由もしてなかったので・・・」
「そうなのか・・・私にはまだ外界でやることが残されている。何が何でもここから出なければならない。どうかこの森を抜けるのを手伝って欲しい。」
「そうですね、私も最近退屈でしたから暇つぶしに手伝ってみますね。」
勇者は軽く応答したこの少女のことを信用するか迷ったが、他に頼れる人もいなかったので信用することにした。
ここで勇者はこの少女の名前を尋ねていないことに気がついた。
「ところで、君の名前は何だい?」
「それがよく覚えてないのです・・・」
少女は恥ずかしそうに言った。
「じゃぁ君は赤い服を着てるから赤服ちゃんとこれからは呼ぼう。」
勇者は適当かと思ったが、今はこれで我慢してもらうことにした。
「そのままですけど、なかなか気に入りましたよ。そういえば勇者さんの名前はないんですか?」
「恥ずかしながら、赤服ちゃんと同じく忘れてしまってね。民衆には”勇者”とだけ呼ばれていたよ。」
「では、あなたのことも、そのままで勇者ちゃんと呼ばせていただきます。」
「ははは、二人とも似たような名前でなんかいいな。今日のところは、私も疲れた。少し休ませてくれないか?」
「わかりました。では出発は明日にしましょう。」
その夜、二人で、サニシキの肉を食べて、よく寝た。
これが赤服ちゃんと勇者ちゃんの出会いのお話。
次の話はまた今度の機会にでも。
この作品は”もの久保”(twitter:@13033303)さんの続き物原案の小説です。
ご本人の許可も得ています。
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