表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

自動運転社会

作者: キサラギ
掲載日:2017/01/23

道を行き交うたくさんの車。どの車にも、人はひとりも乗っていない。

いつだかに開発された自動運転車は光の速さで世界中に広がり、いまや人が運転する自動車を探すのは困難だろう。


自動化の波は、車だけでなく街全体に押し寄せていた。人工知能との組み合わせにより、今まで人間がおこなっていた行為のほぼすべてが自動化され、機械に取って代わられたと言っていいだろう。

そんな中、昔ながらの方法を守り続けているものも、数は非常に少ないがあった。



その男は扉の前に立つ。センサーは男を感知し、扉を自動で開く。

男はその部屋へ入った。この先、自動化されたものはなにもない。

すべてが人力で、すべてが手動だ。

男はここに来ると、とても気が休まる。

「まったく、今の社会はあまりに自動化しすぎている。

あっちに行ってもこっちに行ってもどこも機械ばかりだ。

これじゃあ人間のために機械が動いているのか、機械のために人間が動いているのかわからない。」

男はひとりでしゃべっていたが、この部屋は完全防音なので外に音が漏れることはない。

男はタバコに火をつける。

「落ち着いてタバコを吸えるのも、もうここくらいか。

どこに行っても禁煙、禁煙。隠れて吸おうものなら自動放水機で火が消されちまう。

やっぱりここは最高だ。タバコも吸い放題だしな。」

部屋には小窓がついていて、風が常に流れているので煙の匂いが充満することもない。

男は文庫本を取り出した。

「やっぱり本は紙に限るな。電子書籍にはない紙の手触り、紙の匂い。

電子書籍じゃとても味わえない。俺はこれが好きだから本を読むんだ。

それなのに部屋に本を置きっぱなしにしておくと、勝手に情報を読み取ってデータ化してしまう。

そしてかさばるからと本は勝手に処分されちまう。たまったもんじゃない。」

しばらく読んだあと、本を閉じストレッチを始めた。

「イスに座ってるだけで勝手に体をもみほぐし、さらに筋肉に電気刺激を与えられる。

運動しなくてもいい社会がまさか来るとはな。

でも俺はやっぱり体を動かしたいんだ。この部屋でなら存分に運動ができる。」


ひとしきりアナログな世界を楽しんだ男。

「さて、そろそろかな。」

と言いながらズボンを下ろし、便器に腰掛けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ