言の葉
あなたのこと好きよ と言われた
僕もだよ と何度答えただろう
愛してる と言われた
僕もだよ と答えた
似たような会話をどれだけしただろうか
平気でよく返せたものだ
僕はいつからか 嘘を言うのに躊躇いをなくし
息をするように虚言を吐くようになった
嘘を吐くたびに 身体にツタが絡み 動きが制限されていく
感情に対しても偽るようになると 感覚がどんどん鈍っていく
そうやって雁字搦めになりながらたどり着いたのは
虚栄と幻想と妄想で満ちた世界
何にも満足できず 現実を見失った世界
自分の言葉が 霧散する世界
嘘を塗り重ねたこの身体に言葉は無力となった
さぁ行こう 地平線まで
覚めぬ夢の旅に出よう