敵地を歩く
晴れ渡った青空を背景に、崖に添った、草の生える、岩があちこちに突き出た足場の悪い道を歩きながら、ディンダーデンは目前から襲い来る敵をもう二人、肩に担いだ剣豪快に振り回し、一刀の元、斬り捨てた。
背後でディングレーとギュンターが肩竦めてると、ギュンターが顎でディングレーに促す。
ディングレーは気づくと、一瞬で身を屈めて降って来る剣を避け、剣振り上げて一気に振り下ろす。
「ぎゃっ!!!」
その激しく確かな剣捌きを見て、ギュンターが呻く。
「岩陰に隠れ、襲って来るなんて汚いよな」
ディングレーは息切れもせず身を起こし、前歩くディンダーデンを剣で指し、言い返す。
「あいつがこっちにいたら、敵もそうなる」
ギュンターは何とか、その言葉に頷いて見せた。
「…かもな」
ローフィスは崖の斜め上から、いきなり弧を描き飛び来る矢を、上体振って避け、直ぐ懐に手を入れ、咄嗟に短剣を投げて、お返しをした。
どさっ!!!
斜め上の岩場に倒れる敵の近距離射手を見、ディンダーデンが呻く。
「お前が前歩けば、短剣で全部殺せる」
ローフィスは背後に続くディンダーデンに、振り向く。
「短剣の数には限りがある。
非常時用に、とっときたい」
ディンダーデンは一つ、吐息吐くと、俯いて頷いた。




