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赤い獅子と芍薬の花 オーガスタスとマディアン  作者: 心響 (しのん)『滅多に書かない男女恋愛物なろう用ペンネーム』天野音色
三章
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マディアンの答え


マディアンが、俯く。


エリングレンは吐息を吐いた。

そして…顔を、上げる。

「君の付き合ってる左将軍補佐オーガスタスは、普段左将軍の命を伝え、剣を抜かない。

が、一旦戦い始めると、五人を相手に一気に斬り殺す程の、凄まじい戦い振りだ。

そんな…奴が君のように、血生臭い事等一切知らない…優しい女性(ひと)と…その…付き合ってるってどうしても…思い浮かばなかった」


マディアンは、顔を上げる。

“ああだから…”


オーガスタスはあれ程…自分から私を、遠ざけようとしたんだ………。


マディアンは俯くと、囁きかける。

「私だって…もう、少女じゃないの。

農家のお手伝いに出かけて…幾度も領地外で、盗賊に怪我を負わされた人の手当てもした。

ラロッタが言ったように、お父様や農民と…一緒だったに関わらず、盗賊の襲撃も、受けた事がある…。

殿方が…騎士が。

…戦って人を殺す事がどういう事か、解ってるつもりだわ…!」


エリングレンは目を見開き、そう言うマディアンを、見つめた。


マディアンはエリングレンを見つめ、きっぱりと言った。


「私が知ってる貴方じゃないように…私も。

貴方が知っていた昔の私じゃ、もう無いの…!」


「彼を…愛してるのか?」


そう問うエリングレンの言葉は小声だったけれど…マディアンにも、ラロッタの耳にも、はっきりと聞こえた。


ラロッタは横の…俯く姉を見た。

マディアンは顔を上げると、きっぱりと告げた。


「とても」




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