エリングレンに口止めする為、後を追う一行
「では私、まだ帰れませんわ!
エリングレンに会わないと…!」
ローフィス始め、ギュンター、ディングレーが目を、見開いてマディアンを凝視した。
動き出す馬車の中で、騎乗したディングレーを見つめ、ラロッタが溜息吐いた。
「見てる分には、ディングレー様って凄く、格好いいのにねぇ…」
マディアンは確かに颯爽と背筋を伸ばし、気品があり、一目で高価だと分かる、艶々した黒馬に跨がる、格好いいディングレーの乗馬姿を見つめ、苦笑した。
ラロッタはけれどマディアンに振り向く。
「ローフィス様も!
我が家に訪れていらした時には、とても軟弱に見えるのに!
二人に命令してる姿は、本当に格好いいわ!」
マディアンは、にっこり微笑むと、同意の頷きをラロッタに返した。
結果、馬車と一行は来た道を戻り、門に一番近い、一般宿舎の厩前で、止まった。
ラロッタとマディアンが皆を三階にある、エリングレンの部屋に案内する。
けれど…エリングレンは不在。
召使いが
「講堂で、右将軍配下招集がかかっていて、現在そちらに…」
と告げた。
一行が、一般宿舎の横幅のやたら広い続き廊下を抜けた、その後ろの建物。
講堂へと足を運ぶと、前からぞろぞろと騎士らが、出て来る。
ローフィスはすかさずマディアンの前に出て、彼女を体のデカい男らから護る。
が、どんっ!とぶつかる、一際体の大きな男に思い切り肩にブチ当たられ、ローフィスが眉間寄せて身を前に屈める。
咄嗟マディアンが、自分を庇ってくれたローフィスの、背を支えて心配げに覗き込む。
ラロッタが振り向くと、ギュンターが怒って肩迫り出し、が、ディングレーがギュンターの肩を掴んで押し止め、ずい。
と、前へ出る。
身を屈めるローフィスと横で支えるマディアンを、ディングレーは庇い立ち、目前のデカい男を、真っ直ぐ睨め付ける。
「(あの…目だわ!)」
ラロッタは思った。
獣を思わせる、激しい青の射るような瞳。




