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赤い獅子と芍薬の花 オーガスタスとマディアン  作者: 心響 (しのん)『滅多に書かない男女恋愛物なろう用ペンネーム』天野音色
三章
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近衛宿舎正面門での一幕





 間もなくギュンターが騎乗して、くたびれた様子で(尻の軽い火傷のせいで)門へと姿を見せる。


門番に、門の外の端に止めて連なる、四台の馬車を指差され、順に窓へと馬から身を乗り出して屈み込み、窓から顔を出す女性と喋ってる。


三番目の馬車でギュンターは、中の女性に

「折角来たのに!

追い返すなんてどういう了見?!」

と怒鳴られ、一番最後尾のマディアンとラロッタは、その様子を窓から顔を出して伺う。


ギュンターは、馬上で溜息を付きながら

「だって約束してないだろう?!」

とそれなりに鋭い声音で言い返していた。


金髪が馬が歩を進める度揺れ、その美貌は際だって見えたものの、彼は不機嫌だった。


マディアンとラロッタの馬車の前で馬を止め、三台の馬車からそれぞれ顔出してる貴婦人をその、紫色のキラリと光る瞳で見つめると、憮然。と告げる。


「暇になったら必ず酒場に顔を出すと約束する。

だから今日は帰れ」


労りさえ垣間見せる声色でそう告げられて、婦人達は本当にがっかりした顔で、窓から顔を引っ込め…やがて馬車は先頭から前へと動き出し、向きを変えて馬上に居るギュンターの横を、通り過ぎて行く。


二番目の貴婦人は

「きっとよ…!」

と投げキッスを送り、ギュンターは気の毒げに、頷いて見送った。


マディアンらの馬車の前が、綺麗すっかり消えて無くなるのをギュンターは待ち、そして窓から顔を出して待つ、マディアンとラロッタの馬車の横に馬を進める。


手綱を取って囁く。

「…ローフィスが帰ってる。

俺が案内する。

俺より、多分オーガスタスの動向に詳しい」


マディアンは歓喜の表情を見せ、ラロッタはギュンターのその誠実さに、感激した。

「ただの、垂らしじゃないのね?!」


ギュンターはそれを聞き、馬の首を門へと向けかけ、がくっ!と首を落とした。



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