空は泣かない
一つ、二つと数える
十になったら消えてなくなった
割れてしまったシャボン玉
十までしか存在できないのは
どうしてなんだろう
それなら
私はいつまでここにいられるのだろうか。
「早くしなさい」
急かされて、立ち上がる
私はこれから知らない土地に行く
引越しというそうだ
どこか遠くの知らない世界
ここではない世界
「ねぇ、どこに行くの?」
「行けば分かるわ」
行かなきゃ分からない
そんなところに、行くんだ
私の知らない場所
私のいない場所
今度はここから私がいなくなる
今度はここが知らない場所になる
「ちゃんと友達にはお別れ言ったの?」
「うん、言ったよ」
さようならと言ってきた
その意味はちゃんとは知らないけど
きっと、私はシャボン玉なんだろう
今度は私が消える番だ
一つ、二つ…
ゆっくり数えて、十になった。