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二話

 ワラシベシティの遊園地エリアから遠く離れた住宅街、そこに飯塚奈央の自宅と言うか実家はあった。

 ワンダラータウンの建物とは違い、元々あった家屋を修繕して自宅に仕立てた物らしく、文明社会出身のサイハテとヨーコをひどく安心させた。部屋も金属臭くないし、フローリングで出来ていて、裸足で歩く事だって出来る。

 奈央はこの自宅にしばらく滞在すればいい、なんて人がいいことを言っていた。

 そしてヨーコは感激していた、理由は奈央の家にあるお風呂だ。


「サイハテ、一緒に入ろっ」


「何がどうしてそうなる、お断りだ。俺notロリコン! you are Lolita!」


「……でも子供は産めるわよ?」


「保健体育のテスト百点だった俺に、保健体育の授業されてぇか」


「実地なら大歓迎よ、私、あんたの子供以外産む気ないもの」


「順調に野生化しないで下さい」


 まるで終末世界の論理感である、終末世界であるからいいのだろうけど。

 困り果てるサイハテを一瞥したヨーコは、ベーっと舌を出すとお風呂の方に小走りで行ってしまう。その後ろ姿を見送ったサイハテは、疲れたように溜め息を吐いた。


「奈央さん、この世界の女性ってみんなああなんですか?」


「そうよ。だってあたしたちを守る法律なんてないもの、それでも女なら体を売ればご飯食べれるから、まだ楽な方よ」


 病気の怖さはあるけどね、と奈央は語る。


「男は悲惨よ、西条くんみたく鍛えているなら別だけど、ボロボロの拳銃一個持って、化け物だらけの遺跡を這いずり回ったり。それか悪い奴に捕まって鉱山に送られたりとかね」


「……それは女も同じなのでは?」


「そんな訳ないじゃない、客を見極めて、強い放浪者の女になってしまえば後はお便女しているだけで綺麗な服を着れて、美味しいものが食べれて、おまけに放浪者の男が金持ちになってしまえば楽に生きれるんだから」


「思ったよりも、この世界は虚しいですね」


「人生なんてそんなもんよ、娼婦が嫌ならスリをやったり、男と同じように遺跡に潜ったりするの。失敗すれば死ぬし、成功すれば明日の缶詰にありつく事が出来る。この世界では、人間の命は缶詰一個位が相場なのよ」


 缶詰一個位、そう言われてサイハテは悲しそうな表情をした。

 あの日本はどうだったであろうか、死体が出れば大騒ぎし、警察が出動し、サイハテ含めて悪人全てが法によって裁かれた。ではこの世界はどうだろう、酒場で人が死んでもお咎めはないし、警備隊の隊長が巡航ミサイルで空の旅に出ても、結局はあの町を出てしまえば追ってはこない。


「力こそが、法なんですね」


「……そうよ、悲しい事にね」


 奈央はそう言うとふっと微笑ん……だかどうかはやっぱり包帯によって判別不能ではあったが、なんとなくそんな気がした。


「それで?」


「ん?」


「西条くんはこの世界で何をしたいのかしら?」


「…………ヨーコには内緒ですよ」


 そう言うと、サイハテは奈央の肩を抱き寄せて、そっと耳打ちをした。

 たった一言、たった一言だけであったが奈央を納得させるには十分な理由であった、サイハテみたいな人間がヨーコのような少女や、ハルカみたいな人形を連れているのも理解出来る。


「……サイハテ、浮気?」


「ちゃいます」


 いつの間にか風呂を上がっていたヨーコが、体にタオルを巻いてジト目でサイハテを見ていた。


「あ、サイハテ、裸見せてあげようか?」


「下の毛薄い裸に興味はない」


「あ、剃りたいの? サイハテは変態なんだから」


「お、是非……じゃなくて、そんな特殊性癖ねぇよ!」


 ケラケラ笑うヨーコに翻弄されるサイハテを見て、奈央はクスクスと笑って……いるかどうかは分からないが、多分笑っているのだろう。


「良い狩りを、素敵な放浪者達」


 そんな二人を見て、奈央はぼそっと呟くのであった。

ヨーコがサイハテの影響を受けて変な子になってきてます。


それより文量は更新頻度の為にこのままで行くか、それとも質を上げるか悩んでいます。

誰か選んで下さい。

今日の更新終わります。

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