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十三話

「どもども、マスター。わたくし、R-35、個体名ハルカと申します」


「おい、番号一つ増えてるぞ」


「んもう、マスターったら細かいんだから」


(さ、サイハテが、サイハテが常識的な反応をしているわ……!)


 ハルカと名乗った自称メイドロボは、非常にカオスであった。

 まずは全裸、メイドを名乗るのにメイド服すら着てやしない、それに髪がエメラルドグリーン。非常に目に痛い。おまけに巨乳、ヨーコの敵だった。

 ヨーコはたゆんたゆんと揺れるハルカの胸を見て、その場で跳ねてもそこまで揺れない自分の胸を見て、一粒の涙を流した。


「……ま、負けられん!!」


 全裸のハルカを見ていたサイハテは何を考えているのか、一瞬で服を脱ぎ去る。

 全裸の男女の共演、それは正しく変態と変態の宴であった。


「なんと、やはりマスターにふさわしい……マスターお名前を教えて下さい」


「人に名乗る時はまず自分からだろう」


「もう名乗ってる上に、わたくし人じゃないです」


「おのれ偽パイめ!」


 ヨーコは一瞬意識が遠のくのを感じた、変態が二人に増えて、噛み合ってるのか噛み合ってないのかわからない会話を繰り広げている。正直、この場から逃げ出してしまいたいが、逃げてもどこに行っていいのか分からない上に、変態からは逃げられない予感がする。


「西条疾風だ、本の少しの敬意と沢山の侮蔑を込めてサイハテと呼んでくれ」


「ほほー、サイハテ様ですか。では改めまして、お願いします。ここからここまで、全部サイハテ様の物ですよ」


「そうか、へその下からへその上までしか所有できんのか……だがそれがいい、ハルカ、靴下を履くのを忘れるなよ。文明人の誇りだ」


 おまけに変態同士は意気投合し、お互い全裸の上にニーソックスを装備している。

 変態だ、紛う事無き変態だ。

 サイハテとハルカはまるでお互いを認め合える好敵手に出会えたかのように、自分の中に眠る野生、変態性(ユートピア)を解放していく。あまりの現実のひどさに白目を向いているヨーコを放っておいて二人共、変態の極み(ヴァルハラ)への階段を登っていっている。

 ヨーコは無意識に、天井に向かってライフルを撃ち鳴らした。


「遊 ん で る 場 合 じゃ な い で しょ !!」


 ヨーコの怒声が、狭い検査場の中に響き渡る。


「サイハテは売れそうなもの、使えそうな物を装甲車に積んで!」


「お、おい、ちょっとした冗談……」


「五分でやりなさい!」


「い、イエス、マム!」


 サイハテは全裸のまま駆け出して、検査場の中にある物をかき集めている。


「ハルカもやる!」


「は、はい!」


「その前に服着なさい! サイハテの目に毒!」


「は、はい~!!」


 まるで般若のような顔つきになったヨーコに怒鳴られて、ハルカは泣く泣く服を着る羽目になってしまう。生まれたままの感覚が好きだったと彼女は後に語る。

 全員が押し黙って作業を始め、あらかた梱包が終わった頃、ハルカが首を傾げ始めた。彼女がロボットである事を唯一証明出来そうな金属製のエルフ耳っぽいのがピコピコ動いている。


「あら、ハルカ。どうしたの?」


「そういえばわたくし、貴女の名前知りませんよ。ではなくてですね、データに登録されてない生き物がこの検査場を囲んでいます。バグでしょうか?」


 不思議そうな顔をするハルカを尻目に、ヨーコとサイハテは顔を見合わせた。


「ふ、伏せろ!!」


 倒れこむように地面に伏せるサイハテとヨーコ、その二人の行動を見て、ようやくメイド服を着てメイドっぽくなったハルカは首をかしげた。

 その瞬間、猛烈な銃撃が壁の向こうから叩き込まれる事になった。頭の上を通り過ぎていく音速の弾丸に、ヨーコは小さな悲鳴を上げ、サイハテは飛んでくる弾丸の方向から敵の位置を予測しようとしている。彼は今更ながら全裸になるのではなかったとちょっぴり後悔する。

 ハルカは棒立ちで弾丸を受けまくっている、彼女の肌は防弾なのか、見事に弾丸を弾いており、ハルカ自体は痛くも痒くもないのかケロっとしている。


「ハルカ、こいつを使って反撃しろ!」


 穴だらけの壁が音を立てて崩れる前に、サイハテはハルカに向かってアサルトライフルを投げてやる。自身は背中に括りつけていた剣を抜いて、装甲車の裏に隠れている。


「チッチッチ、甘いですねサイハテ様、私は戦闘型メイドロボです。給仕能力をオミットする事によって戦闘ヘリ並の戦闘能力を持ったメイドです」


「ダメでしょ!? 給仕能力オミットしたらダメでしょう!?」


「その力、とくと見るがいいです!」


 ヨーコのツッコミは軽く無視された。壁が倒れて、大量のブッチャーとシバヘッドが押し寄せてくる。

 それと同時にハルカは自身が纏っているメイド服の胸ぐらを掴んで乳房を露出させた、ツンと上を向いた形のいい乳房は男だったら放っておかなそうな位大きい。

 ヨーコはあんぐりと口を開けた、サイハテも流石に片眉を跳ね上げて不快感をむき出しにしている。


「おっぱいミサーーーーーーーイル!!」


 だがそれも一瞬、ハルカの乳房は敵に向かって飛んでいき、ジャベリンミサイルに匹敵する大爆発を引き起こした。


「ふふん、どうですかサイハテ様」


 胸からモクモクと煙を上げているハルカは、得意げ満面の笑みでサイハテに詰め寄っている。


「あんたを作った技術者は、何考えてんのよ……」


 ヨーコのツッコミは尤もだった。

書いてて自分でも頭痛くなってきました。

そんな事より総合評価が1000を越え、PVに至っては5万を超えました。

これも皆様のおかげです。


後、メイドロボを期待した人、本当にごめんなさい。

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