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十一話

 サイハテからの合図はまだない。

 彼が工場内に侵入してから既に二時間は経過しようとしていた、ヨーコは手持ちの水筒から水を飲むと、体に被せている布を強く握り締める。

 発砲音がないから、サイハテは中で無事なのはなんとなく、ヨーコにも理解出来る。しかし、ライフルを構えて待っているだけと言うのは、こらえ性のない元中学生には非常に苦痛であった。


「……大丈夫よ、サイハテなら大丈夫」


 ヨーコは何度目かもすら分からない言葉を、自分に言い聞かせるように繰り返すだけだ。

 ここでサイハテの期待を裏切る訳にもいかないし、彼の作戦通り事が進むよう、ヨーコはここでひたすら待つしかないのだ。

 ヨーコを焼き殺そうと試みているのか、日差しは強烈で、少女が腹ばいになって伏せている荒野には、少女の汗(JCエキス)が彼女の体の形に染み込んでしまっている。


「サイハテェ……」


 とは言えど、中学生特有の豆腐メンタルはそろそろ限界であった。





 少女が切なげに男の名前を読んでいる時、呼ばれている男ことサイハテは工場の地下に潜り、必死になって発電機を修理していた。

 電気が完全に止まっており、電力を復旧させないと警備システムの再起動も糞もないからだ。


「ここの配線がこうで……ああ、タービンが錆びてる」


 タービン式のガソリン発電機、非常に珍しい型の発電機ではあるが、作られたのは相当古いのだろう。サイハテが持つ知識でも修理が可能であった。但し、部品が十分に存在し、たっぷり時間をいただけるならの話であるが……

 しかし、あまりモタモタしている訳にもいかないし、サイハテはすぐに頭を切り替えると数十分動いてくれればいいの考えの元、応急処置に精を出している訳だ。


「……ああ、めんどくせぇ!!」


 そしてにっちもさっちも行かなくなったので、八つ当たり気味に、機械に蹴りを入れてやった。

 すると、ゴムが劣化し過ぎた給油ポンプから、頑張れば爆発しそうな程腐ったガソリンが流れ込み、今にも砕け散りそうな程錆びたタービンを回し初め、施設内に電力が供給される。

 部屋全体が僅かながら振動しているような感覚を足元から感じて、サイハテは思わずガッツポーズをしてしまう。


「やっぱり俺ってついてるぅ……って、あぶねぇ!!」


 油断していたら頭上から何かが落ちてきて、コンクリートの床に深々と突き刺さった。

 脳天直撃コースだったそれを、サイハテは恐る恐る引き抜くと、薄暗い部屋で、それをマジマジと眺めてみる。危うくサイハテの変態生命を終了させんとしたそれは、片刃の両手剣だった。長らく放置されていたであろうに、錆は浮いていない。

 コンクリートに自重で突き刺さる位には鋭さを保っており、直撃していたら串刺しになっていたであろう、間違いなく即死だった事にサイハテはぞっとした。


「……ものに罪はないよな、うん」


 殺されかけたのは油断していたからと、自分に言い聞かせ、上を見てみる。天井は上の階の床ごと抜けており、あそこから落ちてきたのだろう。この真上はセキュリティセンターだったはず……と予想を立て、これ以外のレア物が眠っているかも知れないと当初の目的以外にも邪な目的が出来たサイハテは、電気がなくて侵入できなかったセキュリティセンターへと足を向けるのだ。

 とは言っても階段を上がったすぐそこなのですぐにたどり着いてしまったが……サイハテは電子ロックに左手を這わせるとあの時と同じように電子ロックは音を立てて解除される。

 ブッチャーどもに見つかる前に、サイハテはセキュリティセンターへと身を滑り込ませ、再び扉をロックする。


「……荒れ放題だな」


 白骨死体が八つに壊れた端末が十五個、動いているのがメインを合わせて四つ位だ。

 ともかく警備システムを作動されるのが先だと、サイハテはメインの端末に触れる前に、白骨死体が胸に付けているセキュリティカード……一枚だけレベルが高そうな赤いカードをむしり取ってから、端末に触れてパスワードを解除するのだ。

 座席に座って、キーボードで端末を操作すると様々な記録が出てくる。ここで何を何機作ったとか、どこに出荷したとか、出荷先の地図とかだが、これは今関係ない。後でハードディスクをぶっこ抜いて違う端末につなげて見ればいいだけだ。


「あった」


 侵入者緊急排除システムと書かれたデータが存在した、サイハテはそれを迷わず起動させ、工場内にアラートが鳴り響き、各所で眠っていたマシンガンタレットが火を吹き始め、ブッチャーやシバヘッドを攻撃し始めたのが、監視カメラで見えた。

 サイハテは一息つくと、ぐったりと座席にもたれかかるのだ。


「……遺跡荒らしはきついな、もうちょっと楽に稼げないもんか」


 ともかく、敵が排除されたらヨーコを呼び出して楽しい楽しい家探しタイムだ。サイハテはぶら下げていた水筒を手に取ると、乾いた喉を潤す為に水を飲むのであった。

なんかすげぇ事になってる……日刊も乗ったし、レビューも着いたし、おまけにポイントが爆発的に増えてる……何があったし

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