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八話

 食事をとった後、ヨーコの射撃適正を見る為に一旦外に出る事になった。

 流石にヨーコの体重と体力、および筋力で格闘戦が出来るとはサイハテも思ってはいない、と言う訳で荒野の適当な場所に連れてきたのではあるが……


「銃って簡単なのね」


 アサルトライフルで八百メートルの距離を当てやがった、しかも動目標にだ。

 ヨーコは所謂天才と言うやつだった、次々に目標に対して銃弾を命中させ、百発百中の腕前を見せてくれた。弾道計算とかはやってないらしい、勘でなんとかなると言っていた。


「よし、武器屋に行こう」


 てな訳で街まで戻って武器屋に直行したのである。

 サイハテもやはり男の子な訳で、こういう所にはわくわくしてしまう。反対にヨーコはあまり面白くはなさそうだ。


「いらっしゃい、あんちゃんいいガタイしてるね。ミニガンなんて使ってみたらどうだい?」


「初見の客にミンチメーカーを進めるなよ……」


 恰幅のよい親父は、サイハテの言葉にげらげらと笑って見せた。

 豪快な口ひげを生やしたドワーフのような親父は、見た目の通り中身も豪快なようだ。


「ボルトアクション式のライフルを一丁欲しいんだ。彼女に見繕ってくれないか?」


「……その子を戦わせるのは、おじちゃん反対だねぇ。あんちゃんのコレだろ?」


 コレと小指を立てた親父に、サイハテはムッとする。

 

「ええ、そうよ。毎晩愛されて、私幸せよ」


 そしてヨーコの言葉にギョッとするのだ。

 サイハテはヨーコに手を出した事は……服を脱がせる位しかないし、サイハテは童貞だ。しかも実年齢うん百歳なので魔法使いどころの話ではないのである。


「おおー、いいねぇ。あんちゃんもやるねぇ」


「………………………………………」


 とりあえず無言でヨーコを睨むサイハテ、そんなサイハテの様子に気が付いたヨーコは悪戯が成功した子供のように舌を出すのだ。

 いつものおかえしよ、なんて言わんばかりの表情だ。


「そら、ライフルはこれでいいか。お熱い所を見せて貰ったし、スコープはサービスしてやる」


 そして止まらない誤解、サイハテは声を大にして叫びたかった。

 自分はまだ穢れなき体である事を。

 だがそんな事叫んでも、サイハテの童貞が町民に知れ渡るだけでヨーコや武器屋の親父になんらダメージを与える事ではないとサイハテも理解していた。ライフルの規格に合う弾丸もついでに一緒に購入し、サイハテとヨーコは武器屋を後にするのだ。


「ねね、サイハテ」


 敗北を知り、意気消沈してバイクに荷物を詰め込んでいるサイハテに、ヨーコが声をかける。


「なんだ? 準備が出来たから後ろに乗ってくれ」


「私、あんたが望むなら、あんたの女になるのも吝かじゃないわ」


「………………………………………は?」


「そーれ、出発しんこーーーーーーーーーー!!」


「お、おう。おう?」


 混乱しきったサイハテは、ヨーコに言われるままバイクを発進させる。

 目的の場所に着くまで、サイハテはずっと首を傾げていた。

今日の更新は終わり、続きはまた明日です

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