四話
これ以上の活動はサイハテが常識を持ってしまう可能性が浮上したので、町の探索は後日にするとヨーコに通達した。
「常識人になるならいいんじゃない?」
「おいおい……変態じゃない俺なんてたこの入ってないたこ焼きだぜ?」
「ただの産業廃棄物じゃない……」
ちなみにこの会話は宿に入ってから一発目の会話である。
宿の主人曰く、ワンダラータウンの宿には風呂はないが体を拭く事は出来るらしく、この町に入ってから不安そうだったヨーコも少しだけ元気を取り戻したようだ。
「じゃ、わたしお湯貰ってくるね」
そう言ってヨーコは両手を差し出してくる。
サイハテは胸ポケットから二人分のお湯代十二円を渡してやると、彼女は嬉しそうに部屋を出て行った。ちなみに細かい端数があるのはこの宿が先払い式の宿屋だからである、一部屋六円の安宿だ。
「そういや話があるとか言ってたが……なんなんだ?」
バイクでのぶらり旅の最中にヨーコがそんな事を言っていたのをふと思い出す。思い出すのは今までの奇行、蘇る中学の頃の思い出だ。
ベッドの上でぐるんぐるんと回転するサイハテと、部屋の入口で微妙な表情を見せるヨーコ。
「……何、やってるの?」
「ああ、過去を悔いているのさ」
「そ、そう……」
相変わらず訳の分からなさ具合に、ヨーコは頬を引きつらせてしまう。
「あ、サイハテ、背中流してあげようか?」
「え? ツボとか絵画とか買わないぞ? 後追加料金とか取っちゃうんだろ?」
のたうち回っていたサイハテの動きがぴたりと止まり、そんな失礼な単語が口から飛び出してくる。ヨーコの形の良い唇が思い切り引き攣り、半眼でヨーコはツッコミを口にする。
「美人局でも怪しいお店でもないわよ……」
「んー……じゃあ頼もうかな」
頭を掻きながらベッドから起き上がったサイハテは、服を脱ぐと大きな背中をヨーコに向けてやる。
がっちりと筋肉で固められた背中は男らしさをしっかりとアピールし、ヨーコは思わず頬を朱に染める、ついつい生唾を飲み込んでしまい、サイハテに怪訝な表情をされてしまう。
「……違うのよ」
「俺にエッチな事するつもりだろ? エロ同人みたいに」
「しないわよ!!」
ヨーコの鋭い張り手がサイハテを襲う。
「いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
その衝撃が折れた肋骨に響き、サイハテに情けない悲鳴を上げさせる。
蹲り、痙攣するサイハテと、まさか自分の張り手で悶絶するとは思ってなかったヨーコはひどく動揺する事となる。
「あ……ご、ごめん。そんなに痛がるなんて思ってなかったの」
悶絶するサイハテに近寄って、自分が叩いた所を摩ってあげる。
その最中で、ヨーコは晴れ上がった脇腹を目撃する。赤黒く変色しておりヨーコは思わず目を見開いた。
「こ、これ……折れてるじゃない!」
「……バレたか」
悶絶していたサイハテは、紫色の顔色を見せながら、バツが悪そうに言う。
「なんで隠してたのよ!」
「転んで折ったって言ったら恥ずかしいじゃないか……」
「あんたの恥ずかしさの基準がわからないわ!」
サイハテの言論は無論嘘である。
シバヘッドの一撃でへし折られたのであり、サイハテの頑強さならばトラックに跳ねられても怪我一つすることなくピンピンしている。
ヨーコに負い目を感じて欲しくないと言う思いと、アバラキャラと言うキャラ付けの為に隠していたのだ。比率は三対七こいつどこか頭おかしいんじゃねぇか。
「……お金貰っていくわよ、私が帰ってくるまで大人しくしてるのよ? いいわね!?」
「わかった、腕立て伏せして待ってるぜ」
「大人しくしておきなさい、この馬鹿!」
百円玉二枚と拳銃のホルスターを引っつかんだヨーコは、懲りもせずにボケるサイハテにツッコミをいれると宿の廊下を走ってどこかに去ってしまう。
「……そうか、ヨーコは生理だったのか。今日はお赤飯だな!」
心配するヨーコに対して失礼な変態である。
そして男は有言実行とばかりに腕立て伏せを行ってヨーコの帰りを待つのだ。
しかし、私は何を考えてサイハテと言うキャラクターを作り上げたのでしょうか?
誰か教えて下さい。




