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三話

PVがいつの間にか1000を超えてた……

幕間でも書こうかな

「ねーお兄さん、うちを買ってよ~」


「生憎お兄さんはロリコンではないので他を当たって下さい」


 七回目のやり取りにうんざりしながらもサイハテは返答する。

 先程から買って欲しいと寄ってきた少女……しかも小学生位の子供は唇を尖らせながら何処かへと姿を消してしまう、相変わらず凄まじい世界だとサイハテは現実を再認識する。

 子供が真昼間、しかも大通りで売春している。

 辺りの様子を見るにそこそこの頻度で売れている辺りが狂っている。


「…………」


 お陰で隣を歩くヨーコの不安そうな事よ。

 まるで捨てられた子犬のような目でサイハテを見上げて、袖口をがっちりと掴んでいる。そんな事しないでもサイハテが彼女を見捨てるならとうに見捨てているだろう。

 そんな状態のヨーコを連れながら歩いた先には円形状の広場があった、街の中心部らしく三つの大きな通りといくつもの店が立ち並んでいる。

 看板は……字の読めない者への配慮だろうか、金属板に絵が彫ってあり、それが何の店かを示しているようだ。

 流石終末世界だとサイハテは感動する、ゴミで出来た町は映画やアニメにも出てきそうな場所で、その中で野戦服を着て、可愛らしい少女を連れて歩いている自分はまるで主人公のようだ。なんて下らない感動だ、そしてアバラが痛い。


「あ、あれじゃない? サイハテの探しているお店って……」


 そう言ってヨーコが指差したのは缶詰の看板が掲げられた家屋だ、他にも枕の看板とラクダの看板が掲げられた店が隣接している。


「おお、そうかもね。それじゃちょっくら商売してこようかな」


 転がしていたバイクを片隅に止めると、缶詰やその他諸々が入ったダッフルバッグを担いで、サイハテは店の中に入ってしまう。

 ヨーコは慌ててその背を追い、テキサスの酒場にありそうなドアを開ける。

 タバコの香りが鼻腔を擽り、ヨーコは思わず顔を顰めてしまう。匂いの主は店の奥でキセルを吹かしている店主だ。


「……いらっしゃい、何かを売りにきたのか?」


「ああ、食料と皮を売りにきた」


「見せてみろ」


 妙に胡散臭い店主と商品がほとんどない店、サイハテは気を引き締めると店主が肩肘を着いているカウンターまで歩み寄る。ダッフルバッグの中にあるシバヘッドの干し肉、それとコンビニで手に入れた缶詰や清涼飲料水をカウンターの上にブチまける。


「ほぉ、盗品か?」


 幸運の放浪者が大量に持ち込んだ一品の数々に、店主はカマをかけるつもりでそんな事を聞いてくる。


「そう見えるか?」


 サイハテの表情は変わらない、店主はつまらなそうにブスくれるとカウンターの上に並べられた品物を計量し始める。出されたのは大きな天秤で鉄アレイのような分銅も付いている。


「重さで一日の消費量を測るのか」


「そうだ百グラムが一食分だ」


 この世界の人間は結構少食なんだなぁと思いつつ、店主の作業を見つめる。

 手持ち無沙汰なヨーコは店主が怖いのだろう、サイハテにぴったりとひっついて不安そうな表情を浮かべている。


「……百六十八円だな」


「嘘つけ」


「ちっ……ほら、五百十二円だ、さっさと受け取って消えちまえ」


「だから嘘つけ、缶詰だけでも十八キロ、肉を含めれば三十キロにもなるぞ。どんだけ上前撥ねる気だ」


 サイハテがあっさりと見破ると店主は渋々と五百円玉四枚を渡してくれる。


「……お前みたいな奴が増えると商売上がったりだよ」


「嘘つけ、これでも大分マージン取っただろうに」


 サイハテが硬貨を胸ポケットに入れながらそんな事を宣うと店主はにたりといやらしい笑みを浮かべた。


「幸運の放浪者、お前の名前は?」


「サイハテ」


「……放浪者らしい名前じゃねーか。お前さんの旅路に祝福あらんことを願ってるぜ」


「そりゃどーも」


 にやにやと笑う店主に背を向け、憮然とした表情のサイハテとヨーコは食料品店を後にする。

 店の外に出るとサイハテのバイクを漁っている小汚い子供の集団が居た。


「がおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 先ほどのやり取りでイラついていたサイハテは大人気なく、子供の集団に向かって吠える。鬼気迫る表情とオペラ歌手も真っ青な声量で怒鳴られた子供達は我先にと逃げ出してしまう。

 その後ろ姿を見送ったサイハテはがっくりと両肩を落して、深々と溜め息を吐くのだ。


「超疲れるわ、この世界」

なんか凄くお気に入りが増えてる

とても嬉しいです

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