6
そんな日々が過ぎ、栄一と清司は小学校を卒業した。
栄一と清司は清司の叔母の家に引っ越すことになった。
近くに中学校がなかったからだ。
清司のご機嫌取りをしていた生徒たちはがっくりとしていた。
清司の叔母は大きな屋敷に一人でひっそりと暮らしていた。
清司によるとまだ五十四歳なのだが、もう七十代のような顔をしていた。
屋敷には高そうな骨董品や綺麗な織物などがあったが、住んでるのがこの人じゃ、全く意味がないと栄一は思った。
「今日からよろしくお願いします」
清司が頭を下げると叔母は嬉しくて泣き出した。
「もう寂しい思いをしたくない。ずっとずっと一緒にいてね」
何度もくり返しいった。
この叔母は子どもが出来ずさらに夫も事故で亡くしたらしい。
栄一も「お世話になります」と一応いっておいた。
中学は徒歩二十分くらいで着く場所にあった。
どう見ても低レベルな学校で栄一は暗くなった。
こんな学校で中学時代を過ごすのかと思った。
その隣で清司はまたしても「たくさん友だちできるといいな」と子どものようなことをいっている。
また違うクラスになることを祈った。
しかし栄一と清司は同じクラスになってしまった。
「やった。これから一緒にいられるね」
清司はにっこりと笑った。
栄一は何もいわず、長いため息をついた。
思っていた通り、清司は毎日栄一に話しかけた。
席替えは必ず栄一の隣。
栄一から離れようとしない。
「僕と栄一くんは大親友なんだ」
清司がクラスメイトにいっているのを見て、栄一は暗くなった。
そのストレスを解消するために、栄一は毎日勉強をした。
清司は遊んでばかりで、成績はかなり悪かった。
その中学はテストをする度に成績表を廊下の掲示板に貼った。
栄一は毎回一位になった。
「目立ちたくない」と思っていたが、栄一は有名人になってしまった。
「杉尾ってすごいな」
名前もクラスも知らない男子からよく褒められた。
もちろん清司からも「さすが栄一くん!」としつこく何度もいわれた。
栄一はそっとしておいてほしかった。
しかし成績表は栄一の気持ちをわかってくれなかった。




