表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジグ:保健室には良くない「大人」が研究している  作者: らゐをふ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/1

人生における幸せとは

 ここは「ジグ」によって悩める子供達が集う場所。軽い怪我や悩みの相談、そして悩める彼らの「憩いの場所」にされかけている。

 私は静かが好き故にあまりよろしく思わない。しかし若者から得られる情報は、私の研究に大いに役立つ事になる。

「『カイン』先生!!お時間よろしいでしょうか!?」

 うるさく扉を開けるこの生徒は「ヒカネ」。ここの所毎日の様に来ている「悩める若者」だ。

「…長くなりそうか?」

「それはもう!」

 この子はジグ持ちにも関わらず関係の無い特殊能力を持っている。

 ジグとは自分のもう一つの人格であり、自分を守るか慰めるか、はたまた戦いに役立てるか様々な使い勝手がある。ヒカネのジグは…かなり恐ろしい戦闘狂だ。

「ボク何度も巡り回って考えついたんです!『恋愛』とは即ち切っても切り離せない必要な『人生』だと!!!」

「言ってる意味が分からないな 愛など人類繁栄の『催眠』だ 人類が続く為に無自覚に植え付けられた動物的本能だろう」

「カイン先生そんな考え方じゃモテませんよ!恋愛は等しく『尊い』ものなのです!!」

 こいつとは考え方が根本的に違う。私は人類の繁栄方法を研究していた。しかし結局は交わう欲望の延長に過ぎないと決めつけていた。

 しかし彼女はどうだろうか、考え方が腐っている。いわゆる「腐女子」というものなのだろうが、私には思いつかない意見を並べて実に飽きない。

「異性愛も同性愛も!家族愛も人類愛だって等しく尊いのです!それを先生には知ってもらいたい!!」

「理解出来る気はしないが…君の話は正直面白い」

「それって褒めてます!?」

「どうだろうな」

 沸いたポッドでコーヒーを、ヒカネ用に紅茶を淹れて机に座り直す。

「でもカイン先生だけなんですよ!ボクの話をちゃんと聞いてくれるの!」

「それはそうだろう 業務時間中は生徒の話を聞けばその分ボーナスに繋がる」

「聞きたくなかった裏事情!!」

 悩みを解決できれば私の雇い主から報酬がもらえるのだ。やっていて損は無い。

「それで…カイン先生は恋愛をしないんですか?」

「もうそんな青春ができる歳じゃない それに私は公に出来ない『大罪』を犯した贖罪中だ」

「何をやったか…ボクにも教えてくれませんか」

「当たり前だ」

 まだ不幸を知らない子供に、私の過去を話すわけにはいかない。それほどの罪なのだ。

「邪魔するぞ!」「お邪魔します」

 赤と緑の生徒がノックもせずに保健室に入る。こいつらも常連であり、「暴走」したジグを鎮める正義のヒーローを名乗っている連中の一部だ。

「タツキちゃん!?」

 ヒカネは慌てて顔を隠し、そそくさと逃げようとする。

「先生私のことは秘密でお願いします…!!」

 必死なのか本来の一人称で頼まれた。ヒカネとタツキは仲が良いはずだが、ヒカネの妄想癖はタツキに隠していたいらしい。多分もうバレてるけどな。

「取り込み中だった?武勇伝語りに来たんだけど」

「そんなに誇らしいものでも無いでしょう…」

 偉そうな小さく長い緑の髪が「龍忌タツキ」。敬語で捻くれている赤髪の男が「文也フミヤ」だ。

 ヒカネも慌ただしく去り、今度は二人のジグを鎮めた武勇伝を聞かされる。これもまた、私の研究にきっと繋がっていくのだろう。


 「ジグ」とは自分の愚かと書いて「自愚」と読む。その真髄に、果たして気づけるのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ