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モブたちの恋愛事情

作者: ヤスヤナ
掲載日:2025/12/22

モブたちの恋。

「なんか飾ってないか?」

「うん。そうだね」

「何だろうな、あれって」

「さて。何だろうね」

イルミネーション、そう心の中で呟く。

今、僕の隣で歩いているこの人。

これまでは、関係なかったけど。


「あっ。見て! この街にもあるんだ!」

「う、うん。らしいね」

「先生にアレ見せたらはしゃぐかな!?」

「はしゃぐと思うよ」

「でしょ!?」

あれは、そう。イルミネーション。

まあ、私には関係ないけど。

…けど。

など、少女は心の中で呟く。


―数日後。


太陽が出ている、昼の休日。


「ま、待った?」

「いや、全く待ってないよ。

早くない? 待ち合わせの時間まで、まだ30分あるけど」

「待たせたら悪いって、思って。

へへ、人生初です、待たせたの」

照れ笑い。

そして、

「じゃあ、イルミネーション、見に行こうか」

「だね」


『2人のラブコメを完成させるために』


高校生でもあり、作家でもある少年。

今年の春、引っ越してきて、通う高校に大好きな作家がたまたまいて、それを追っかけている少女。


その2人のラブコメ、それを結ばせるために。


イルミネーションの下見を、少年の友人と、少女の友人、いわゆるモブたちはする。




「綺麗だね。

夜だったら灯りがついて、本当に綺麗なんだろうね」

笑顔で、少年は撮る。

「うん。そうだね」

その隣で、うなずく。

微笑み、無邪気にスマホで撮る彼を見守るように。


「人生初だよ、イルミネーション」

「私も。今まで縁がなかったから」

「だったらさ、2人で写真撮ってもらおうよ」

「しゃ、写真? なんで?」

「いや、どんな感じかなって。

2人のためにもさ。ベストポジションとか、気になるから」

「そ、そうだね。2人のために」


パシャリ。

「ありがとうございます」

撮ってくれた通行人に、少年はお礼をする。

「ここだよ。ベストポジション」

「かな?」

微笑んで2人で笑い合う。


そして、ふと気付く。


『いや、これデートじゃん』


2人とも、意識をし、顔を赤くする。


僕は、友人の恋を結ばせたいから。

だから、これは、しないといけないことなんだ。イルミネーションでデートをしてほしいから。


私は、あの子の恋愛を成功させたいから。

デートで失敗させたくないから。


自分に言い聞かせる。


「き、喫茶店行こうか」

彼は提案する。

「そ、そうだね」

イルミネーションから逃げるために、受け入れる。


だが、

「カップルのおふたりさんですね」

という何気ない店員の確認で、もっと照れてしまう2人であった。




『あの2人、早く結ばれないかな?』

モブたちは思った。

主人公とヒロインの恋よりも先に結んだからいけないから、そんな気持ちで。


―その後。


「待ったー?」

「待った待った。かなり待った」

「もー。

こんばんわ、先生」

「こんばんわ。先生はやめてよ、同じ高校生なんだからさ」

「じゃ、早く行こ? 友人がオススメしてくれたんだよ、最高のポジション」

「アイツも言ってたな。

ま、いいや。帰ろ」

「ちょっと先生ー!?」


モブたちの恋愛事情を、2人は知らない。

ありがとうございました!

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