癒しの時間 【月夜譚No.377】
掲載日:2025/11/23
犬の兄弟が戯れている。白の毛足は長く、お互いにコロコロしているので、見ように依っては白い毛玉が転がっているようにも見える。
そんな様子を見ていると、自然と頬が弛む。少女は先ほどまでの刺々した気持ちが滑らかに丸くなっていくのを感じながら、湯気が立ち上るカップに口をつけた。
少女が通う高校から二駅先の商店街。そこにひっそりと店を構えるドッグカフェは、彼女にとって憩いの場所だった。
嫌なことがあった日は、ここに来るに限る。今日はホームルームが終わるなり教室を飛び出して、脇目も振らず真っ直ぐここまでやってきた。そして来て良かったと、心から思うのである。
「ね、仲間に入れて」
立ち上がって兄弟の間に分け入ると、二匹は嫌な顔一つせず、ピョンピョンと跳ねて少女を歓迎してくれた。
人間もこのくらい大らかでいてくれたら良いのに。そんな風に思いながら、少女は犬達と戯れた。




