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第9章 闇の中の灯火
アヤカがミカと約束のカフェで顔を合わせたのは、雨が降りしきる午後だった。
薄暗い街角の小さな店内に二人は静かに腰を下ろす。
ミカはいつもの明るさを抑え、真剣な表情で話し始めた。
「アヤカ、最近お前の周りで変なことが起きてるのは知ってる。あの店長の警告も、本気だと思う」
アヤカは戸惑いながらも聞き入った。
「どうしてそんなことがわかるの?」
ミカは小さく息を吐き、声を潜めて続ける。
「私も色々と調べてる。港区の風俗業界は表向きとは違う裏の繋がりがあって、簡単に足を踏み入れると危ないんだ」
彼女の言葉は重く、アヤカの胸にずしんと響いた。
「でも、私は逃げたくない。絶対に這い上がるんだ」
ミカは静かに頷いた。
「それなら、私が助ける。だけど、一人じゃ無理だから」
二人の間に、わずかながらも希望の灯火がともった。
だが、その夜、アヤカの携帯にまた不審なメッセージが届く。
「お前の動きを止めろ」
脅迫の言葉に震えながらも、彼女の決意は揺るがなかった。
「もう後戻りはできない」
暗闇の中に微かな光を見つけたアヤカは、前へと進み始めるのだった。