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第4章 小さな光
風俗店の片隅で、アヤカは自分の姿を鏡に映していた。
メイクは完璧に仕上げられているはずなのに、鏡に映る目はどこか虚ろだった。
この生活が続く限り、彼女の心は擦り減っていく。
そんなある日、ミカから一通のメッセージが届いた。
「今度、ネットビジネスのセミナーがある。興味あったら一緒に来ない?」
その言葉に、アヤカは初めて少しだけ未来を想像した。
「本当に変われるのか?」
不安と期待が入り混じった感情の中、彼女は重い腰を上げてセミナーに参加することを決めた。
会場は意外にも落ち着いた雰囲気で、様々な年代の人が集まっていた。
講師の話は専門用語が多く、難しい内容もあったが、アヤカは必死にメモを取った。
「ここで学べば、私も変われるかもしれない」
しかし、セミナーの後にミカがポツリと呟いた。
「でもね、こういう世界も楽じゃない。騙す人もいるし、裏切りもある。気をつけて」
現実は甘くない。だが、それでもアヤカは小さな光を掴もうとしていた。
帰り道、港区の夜景を見上げながら、彼女は心の中で呟いた。
「いつか、あの光の中に私も立つんだ」