16/31
第16章 影の取引
薄暗い廃工場の奥で、アヤカは震える手で扉を押し開けた。
そこには、予想もしなかった人物が静かに待っていた。
「お前が来るとは思わなかった」
冷ややかな声で迎えたのは、かつて信頼していたはずのミカだった。
「なぜこんなことを?」
問いかけるアヤカに、ミカは複雑な表情を浮かべた。
「私も利用されている。お前と同じように、抜け出せない闇に囚われているのよ」
その言葉にアヤカは言葉を失った。
友情と裏切りの狭間で揺れる二人。
だが、ミカの口から語られたのは、さらなる闇の深淵だった。
「実業家の父親と繋がる組織が動いている。私たちはその歯車に過ぎない」
アヤカは絶望と決意が交錯する中で、一つの選択を迫られる。
「この闇を壊すために、共に戦うか、それともこのまま沈むか」
二人の運命は、ここから大きく動き出す――。




