第8話 冒険者撃退
どうしようかな。撃退したいけど、攻撃すると相手を殺しちゃいそうだし。
──あっ、あれなら使えそう!
「おい、早くパーティの手続きしに受付まで行くぞ」
引っ張られて、人がたくさんいるロビーに出た。
朝でも夕方でもないのに人がたくさんいるのは、今日は休みの日だったからだって。本当は、1週間に1日だけ休みの日があるらしい。
「え?なんでですか?パーティにはならないって言ったじゃないですか」
「は?俺の誘いを断る選択肢はないと、何度言ったら分かるんだ?」
「なんで誘いを断る選択肢はないのですか?あなたは私より偉いのですか?」
「そうだよ!俺が高ランクの依頼を受けなきゃ、お前が全て受けてこの街を救えるのか?」
「え?別に良いですよ?」
「お前には分からないかもしれないが、この街のギルドには、自分のランクの依頼までしか受けちゃいけないっていう決まりがあんだよ!」
「そういえば、そうでしたね。あまり関係ないので忘れていました」
「結局どうするんだ!答えろって言ってんだろ!」
「え?どちらにもなりませんよ?私がこの街の高ランク依頼、全部受けますよ」
「お前は鳥頭なのか?自分のランクより上の依頼は受けちゃいけないって、何度言ったら分か──」
「え?この街の依頼、Aランク以下のしかないのでしょう?私、全部受けれますけど」
「「「「「「「「はぁ?」」」」」」」」
なんでアルカ以外の冒険者まで反応してるんだよ。さては、盗み聞きして(多分ほとんどの人は普通にしてても聞こえて)たな?
「始めから気になってたんですよ。なんであなたが私のこと見下した態度とるのかなぁって。まぁ、冒険者は荒くれ者が多いって話でしたから、仕方がないのかもしれませんが。
私、Sランク冒険者ですよ?」
「「「「「「「「はぁ?」」」」」」」」
「だから、私Sランク冒険者ですよ」
「嬢ちゃん、いくら誘いを断りたくても、嘘はダメだろう。アルカがこの街最高ランクの冒険者ってのは、周知の事実だぜ?」
「今までは、ですよね?……私、昨日冒険者登録したんですよ」
「おい、嘘はやめろよ。本当に俺より高いランクだって言うなら、冒険者カードを出してみろよ。どうせ白いんだろ?」
私は、言われた通り冒険者カードを出す。
冒険者カードはBランクまでは白色だが、Aランクからは銀色、金色、輝いてる黒色に順番に変わるので、私は金色。
「………………まじかよ」
静寂を破ったのは野次馬のおじさん。おじさんが口を開くと、他の人達も一斉に喋りだす。
「Sランクって、戦闘力チェックでギルマスを倒さなきゃなれないんじゃなかったか?」
「そういえばそうだ!お前さん、ギルマスを倒せるのか、すげえな!」
「…………そんなはずはない!俺はこの街で最強なんだよ!」
そう言って剣を抜き放ち、私に斬り掛かってくるアルカだが、私はさっとかわしアルカの手首をひねる。もちろん剣を奪うのも忘れずに。
「おい、何してるんだ!新人冒険者に斬りかかるなんて!」
少し遠くからギルマスが飛んでくる。
やっと終わった。訓練場に戻るとしますか。
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