第7話 模擬戦
こんにちは!
依頼は戦闘力チェックだけど、ほとんどは休み時間なので、訓練場に来た冒険者と模擬戦をしています。
「おぉっ、今日はラジじゃないのか!一戦お願いできるかな?」
「もちろんです!…………手加減の訓練になります」
最後の言葉は小さな声にしたので、相手には聞こえていないはず。
敬語で話している理由は、ギルマスに「あんまり絡まれないように、敬語で話せ」と言われたから。
何故敬語だと絡まれないのかはさておき、今の人を瞬殺した私の次の相手はAランク冒険者だ。私の今の戦いを見ていたみたい。
「君、うちのパーティに入らない?うちはAランクパーティだから、もっと高ランクになれるし、生活は保障するよ。それが嫌なら、俺の彼女になってくれても良いよ?」
「両方、お断りします。強くなりたい訳ではないですし、あなたの彼女になりたくはありませんから」
私が目指してたのは冒険者であって、高ランクにはなれなくてもいいし、初めて会った人の彼女になりたくはないし。
「っ!?…………君、この俺の誘いを断っても良いと思ってるのか?このクルハで最高ランクの冒険者、アルカの誘いを。俺がこの街を守ってるんだ。俺が依頼を受けなくなったらこの街は崩壊する。良いんだな?」
「申し訳ございません。この街に来たのは昨日で、あなたのことも知りませんでした。それと──」
「そうだ。お前は俺の誘いに乗っとけば良いんだよ!パーティ仲間と彼女、どっちだ?どっちになりたい?……………………まぁ、こんな良いとこのお嬢様、パーティ仲間を選んだとしても、依頼遂行中に弄んでやるけどな」
「パーティ仲間と彼女?なんの話ですか?それはもう断ったと思ったのですが。それより──」
「は?俺の誘いを断ったらこの街は崩壊するんだぞ?断る選択肢はないだろう」
「え?一つ確認しますが、あなたがこの街の高ランクの依頼を全て受けていたのですよね?」
「そうだよ!だからこそ俺が依頼を受けなかったらこの街が崩壊するんだ。わかったら早くどっちか答えろよ。どっちもやりたいから迷ってるのか?お前は特別に、両方やらせてやるよ。ほら、こっちに来い」
そう言って私の手を引っ張っていくアルカ。
どうしようかな。魔法で倒すのはまだ手加減の練習ができてないし、剣も勢い余って殺しちゃいそう。
さっきまでは、相手に物理を遮断する結界を張ってたんだよね。手加減は1回も成功してない。
どうしようかな。──あっ、あれなら使えそう!
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