第1話 4度目の転生
「もう、好きなようにやりなさい」
ずっと、待っていた言葉。いつもの、私を心配して言ってくれる言葉より、この言葉のほうがずっと欲しかった。
「あなたは力不足です」
何回言われたか分からない、この言葉。神であるお母様、エリカからの、私に夢を諦めさせるための言葉。
これを聞いて、何度も夢を諦めようとした。でも、無理だった。
「諦めることすら出来ないのですか」
隠れて夢を目指そうとした。でもそのたびに、お母様にこの言葉を言われた。
でもそれも、今日で終わりだ。
明日からは、好きな私でいられる。憧れの、冒険者を目指せる!
「5回目の人生で、やっと冒険者になれるっ!」
生まれたばかりとはいえ、転生は4度目。赤子の舌でもちゃんと喋れるようにはしてある。
まずは冒険者ギルドに行ってみよう!
冒険者ギルドは街にしかない。小さな村でもあるところはあるが、規模が小さくて依頼が少ない。
ということで、目指すのは一番近い街、クルハだ。
一番近いと言っても、私が今いる、ハイエルフの里からは馬車で3日くらいかかる。
でも、冒険者になるために訓練した私はその程度の距離で負けたりしないっ!
「いやっふぅ―!」
やっぱり何度飛んでも空は良いね、勢いよく当たる風が気持ち良い。
歩いたり馬車に乗ったりするよりずっと速く進めるし、そして何より景色が良いっ!
……なんだろ、あれ。
気づいたら、前の方の木に、3メートルくらいの緑色の翼の生えた生き物がとまっていた。
鳥……ではないと思うんだよね。あんなデカい鳥見たことないし。
…………ま、いっか。ちょうどお腹も空いてきたし、あの鳥狩ろう。
「ギャァァァァァ!!」
「よし、とった。どうやったら美味しくなるかな」
……確か、前前世で読んだ本に、鳥は揚げると美味しいって書いてあったような。でも、今は油がないから食べられないな。
他には……分かんね、他のもの食べよ。
今日中にはクルハに着くと思うから、今からの昼ご飯だけで良いかな。
森の上から食べれそうなものを探していると、何かすっごいデカいキノコを見つけた。
…………なにあれ。キノコがさっきの鳥くらいあるんだけど。ありえないでしょ。
私は、焼く手間を省くために雷を落とす。そのまま風魔法でキノコの上の風をなくして浮き上がらせたあと、自分が急降下してキノコをキャッチする。
「…………うんまっ!」
これめっちゃうまい。マジで。冒険者ギルドに着いたら、みんなにオススメしよう。
キノコを見つけ次第、速攻で採っていく私。
もちろん、腐らないよう、時間停止機能のついた自作のアイテムボックスに入れてある。さっきのめっちゃデカい鳥も一緒に。
「やっと着いたぁぁぁ」
つ、疲れた。空飛ぶのは楽そうだと思うかもしれないけど、首吊りそうになるんだからね。あと暇で折り紙してたら酔った。
でも、クルハに着いた!思ったより早く着いたな。
まだ夕方になっていないから、これから冒険者登録までしちゃおう。たぁのしみだなぁ!
お読みいただきありがとうございます。今回は、神様の子である女の子が、冒険者として生きていく物語です。面白かったら、これからも読んでください!