入学初日 ④
いやぁー、長かった。
学園長のありがたーいご挨拶がやっと終わり、僕たちは各教室へ移動している。
僕は凝り固まった体を伸ばすように大きく伸びをしてから腰を軽く叩く。
(いや、まさかあそこまで長くなるとは誰も思わなかったでしょ。)
そう、あの学園長は一つだけ、と言っておきながら結局一つに収まることはなく、延々と話し続けた。
何十分話していたんだろう?、
僕は4つ目の話が始まった辺りから記憶がない。
長くても三つ目くらいで終わるかな?と思っていた生徒たちも、四つ目の話が始まった時点で悟っただろう。
あ、これ終わんねぇな
と。
結局僕が気づいたときには、何回目になるか分からない「最後に」というほとんど信用を失った言葉を発して、やっと後ろに下がっていった。
と言っても、僕は寝ていたわけではない。
どんなに話がつまらないかったとしても、入学早々居眠りしてたら先生たちに目をつけられてしまう。
周りから見れば、僕はしっかりと話を聞いている真面目な生徒だっただろう。
え、じゃあ記憶ないってどういうこと?って思ったでしょ。
僕の能力の事忘れてない?
何においても呑み込みが早い。
ちょっと面白くいったら獲得経験値が100倍!!って感じだろうか、
これは魔法や剣術などに限った話ではなく―――
実は、この入学式挨拶で僕はとてつもなく無駄な能力を身に付けてしまった。
聞きたくない話をスルーする能力。
いったいこれから使う機会あるんだろうか、そんなスキルを身に付けてしまった。
まぁ、おかげで僕からしたらそんなに苦ではなかったけど…
そんなこんなで、入学式は終わった。
ここまで説明するのに思ったより長くなってしまった。
ということで省けるとこは極力省いて説明しようと思う。
なんせ僕がやらかした話しはもう少し後だからね☆
◇◆◇
入学式を終えた次は、自分のクラスに移動した。
1クラス40人ほどで全部で20クラス。今年は少ない方らしい。
簡単な自己紹介やこれからの予定の確認など、簡単な説明が先生からあり、ホームルームは無事に終えた。
だが、一つ気になったのは、朝校門前で騒いでいたヤバめの男子生徒が同じクラスだったことだ。
しかも人が変わったように大人しい。
ふむ、なにか学園の闇を感じる…
そして次、園内見学。
ダラス学園は王都最大の魔剣士学園ということもあり、かなり広いし設備も充実してる。
毎年迷子になる生徒が出るらしく、主要な教室や訓練場などの場所を確認させられた。
ここまでは良かったのだが、
見学を負え、訓練場を去ろうとした時だった。
「おやおや、新入生かな?」
長いコートを着た40代くらいの髭を生やした、魔法使いと思われる男性が僕たちに気付き近づいてきた。
「あ、ヨーケイ先生。こんにちは!そうなんですよ、今ちょうど園内見学が終わった所で。」
僕たちの担任教師が答える。
「ははは、そうでしたか。ところで―――」
と、ヨーケイと呼ばれた男は片手で髭を触り返事をしながら、担任に近づいていき、なにやら耳打ちをした。
僕には聞こえなかったが…
「――それはいいですねぇ!では時間もあまりないですし早速やりましょう!」
担任が元気よくそう言う。
ん?なにをやるの?これから教室に戻るんじゃないの?
そして、僕たちの方に向き直り、言った。
「みなさん!こちらは学園の魔法使い、ヨーケイ先生です。なんと、急遽!先生が魔法授業をやってくれることになりました!」
「え、まじ?」
「初日から?!」
「やったぜ!!俺の実力見せてやる!」
と、クラスの生徒は思わぬ体験授業に歓喜する。が、僕は…
なんて余計なことを!!
心の中で叫んでいた。
まぁあの先生も退屈してる僕たちのために善意で言ってくれたんだろうけど…
まずいな、、
というのも僕は、あらかじめどんな授業内容で、どんな魔法を習うのかを予習して、学園でぶっぱなさないようにしてから授業を受けるつもりだった。だが、、
これじゃあ予習もなにもないじゃないか!!
頼むから簡単な魔法にしてくれよ!?
よく使われる魔法ならしっかりと威力を調節できる、しかし、初めてみた魔法を放ったりでもしたら、どんな威力なるかは自分でも分からない。
だかそんな希望を打ち砕くかのようにヨーケイ先生の口からは…
「ふむ、みなさん新入生ということで難しい魔法はまだ扱えません。なので、私が新たに開発した誰でも使える簡単な魔法を今日はやってみましょう!」
へぇー、新たに開発した新しい魔法ねぇ、
ちょっとまずいな。




