第9話 人助けの結果
「私の剣、返してくれない?」
さっき助けた少女に声をかけられた。一瞬何のことかと思ったら、手元に少女の剣を持っていることに気づいた。
眼前の少女はスタイル抜群で眠そうな金色の瞳を持つ女の子だ。ただそれよりも、耳まで覆ったニットキャップを被っていることが気になってしまった。
お気に入りなのかな?でも感謝の言葉もなしにただ返すというのもなぁ。納得いかないので、
「銀貨一枚だ」
「?」
「さっき助けた見返りだよ。感謝の意を示してくれないか?」
そう言うと少女は少し嫌そうに目を伏せ、銅貨がたくさん入った袋を渡してきた。ちょっとした嫌がらせのつもりだろうか。とりあえず臨時収入を得たので大人しく剣を返した。
そのまま帰ろう後ろを振り向いた時、なんと俺の真後ろに笑顔を浮かべた受付嬢が待機していた。俺を逃さないという意志が伝わってくる。
「ルーシーさん、なにかお困りごとですか?」
「別に。金を出せって、この子に強請られただけ。」
おいおい誤解を招くような言い方をするなよ。受付嬢が睨んできてるじゃねえか。
「ホーンラビットから助けたことへの感謝の言葉がなかったので、代わりに金銭で表してもらったんです。カツアゲしたわけではありません。」
このように丁寧に説明すると納得してくれた。ちなみに少女改めルーシーはもう興味が失せたのかジャーキーらしきものをかじっていた。
その後俺とルーシーは受付に連れていかれ
「よければお二人でパーティを組みませんか?」と提案された。
「…え?どうして?」
ルーシーが怪訝そうにこちらを見ている。確かに唐突だよな。どういう風の吹き回しだ?
「アオイさんは登録してから一度もパーティを組んでいませんよね。ソロだと限界がありますので。ぜひ組んでいただこうと思いますが。どうでしょう?」
ルーシーもソロみたいだ。仲間になるのは願ってもないことだが、彼女はどう思ってるのか。
「ルーシーさん、前貯金がそろそろ尽きそうって言ってませんでしたっけ。大丈夫ですか〜」
「う…仕方ない。これからよろしく。えっと、名前は?」
「俺の名前はアオイだ。悪かったな。金ないのに請求しちまって。」
こうして俺はルーシーとパーティを組むことになった。人数が増えたことで選択肢が広がりそうだ。