第6話 嬉しい変化
下水道清掃を始めて5日経った。10体目のスライムを倒した時、ついにステータスに変化が生じた。
名前:烏野葵 16歳
Lv 2
職業:探索者
生命力 12/12
魔力 13/13(+1)
攻撃力 17
防御力 12
敏捷性 12
知力 12
【スキル】
槍術Lv1
【ユニークスキル】
マスターウェポンLv1
なんと、レベルアップしていたのだ!
全ステータスが2上がり、槍術スキルを新たに習得した。ちなみにスキルの効果は
槍術Lv1:攻撃力+5 槍の扱いが少しだけ上手くなる といったものだ。
スキルを取得するとステータスが底上げされるようだ。あと何故か魔力が1増えていたんだが…ユニークスキルを使いまくって魔力をたくさん使っていたからだろうか。
以前確認し忘れていたが、改めて探索者の詳細な説明を読んでみた。
職業:探索者 種族・血統由来を除く全てのスキルを習得できる
この説明を見るに他の職業では取得できるスキルに限りがあるのだろう。その縛りがない分、スキル抜きの基礎ステータスが低くなっているんじゃないか?
レベルが上がったという事実に頬を緩ませ、宿を出発した。今日は清掃業を休み、武器や防具を買いに行こうと思ったが、清掃業者から貰った作業衣服があるので防具は当分買い替える必要はないだろう。戦闘用ではなく普段着を買うべきだな。
まずは古着屋に向かい、色違いの服を3セット購入した。 これなら街を歩いていても浮くことはないな。
次に武器屋を訪れた。そこにはたくさんの剣が壁に立て掛けられていて、見てるだけでワクワクする光景だった。そうして店の入口で立ち止まっていると、カウンターの店主に声をかけられた。
「いらっしゃい。何を探してるんだ?」
俺は槍術スキルを活かせる槍を探していると伝えた。すると店主は裏から槍の入ったツボを持ってきた。10本ほどの槍がツボの中に乱雑に入れられており、値札を見ると 【1本銀貨1枚】 と書かれていた。
俺は鉄の槍を1本手に取り、 裏庭で試してみた。何度か突きと払いの動作を繰り返してみたが、何かしっくりこないな?と思った。
疑問に思いつつ何本か試していると、4本目の槍を振るった時にパズルのピースがハマったように正確に扱う事が出来た。
店主が言うには、他の槍よりもかなり優れた槍だが、前の使用者が殺人に使用したため買い手が見つからなくなってしまったらしい。
いいね。曰く付きの武器って響きが最高だ。しかも上等な代物みたいだし、迷わず購入して武器屋を後にした。
昼過ぎになったのでこの街に来た時に行った食堂に向かった。看板を見ると【白蛇の庭】という店名だった。
賑やかな食堂を想像していたが、店は静かで、1人で食事を楽しんでいる客が多かった。
…食堂なのに静かだな?そのことを定員さんにたずねると、
「この【白蛇の庭】はずっと昔に〝白蛇の英雄〟が一人でも食事を楽しむために作らせた店なんだ。今では世界中にある有名店さ。」と教えてもらった。
今日はガッツリ食べたいので、メニューの真ん中にあるトカゲ定食を注文した。トカゲ定食は、スープに白いパン、そして皿いっぱいにビッグリザードというモンスターの肉が乗ったインパクトのある定食だ。
早速肉にかぶりつくと、炭の風味と凝縮された旨味が口いっぱいに広がった。昔高い店で食べた地鶏に近い食感だった。また、付け合わせのスープとパンが口の中の脂を中和してくれるので飽きることなく食べ続けられた。
前回初めてきた時は余裕がなく、適当に選んだ店だったが、今はこの店を選んでよかったと思う。
トカゲ定食をペロリと平らげ、代金の銅貨10枚を支払った。少し高いが払う価値はあったと思うほど美味しかった。