第5話 はじめての戦闘
少し短めです。
襲いかかってきた丸い何かの突進をなんとか回避し、姿を捉えた。ぷるぷるとしたボディに薄汚れた水色の体色。そう、スライムだ。
俺はモップを槍のように構え、スライムに向けて攻撃した。だが、ポヨンと弾かれてしまった。どうやら流動的な体にはダメージが入ってなさそうだ。
スライムに注目すると、体の中心部に石のようなものが見えた。あれが核だとしたら…
ポケットに左手を突っ込み、『ステータスオープン』と唱えた。
魔力 2/10
…よし、魔力が少し回復している。
モップを手放し、槍を生成する。これならモップよりは効きそうだ。
スライムの突進を再び回避し、背後から渾身の一突きを放つ。その衝撃でスライムは壁に叩きつけられた。
動きが止まった所に追撃しようとしたが、スライムは汚泥を俺に向けて放出する。幸いダメージはないが、全身が汚れてしまい、怯んでしまった。その隙にスライムが突っ込んでくる。今度は回避せず、槍を正面から食らわせた。
今度はスライムが怯んだので、追撃を加えた。核を狙って5回ほど攻撃すると、大きく痙攣し、そのまま動かなくなった。
…よっしゃあ!俺の勝ちだ!!
魔力切れによる倦怠感と戦闘の疲労のため、これ以上の清掃は困難だと判断した俺は、スライムの核を拾い、バケツを担いで地上に戻った。
清掃業者にスライムが出たので帰ってきたと報告すると、説明してくれた。
「説明してなかったね。今後もスライムが出たら駆除してね。スライムの魔石は1つにつき銅貨10枚でギルドに買い取ってもらえるよ。」
スライムの核って魔石っていうのか。思わぬ臨時収入だった。
出た時間がおよそ12時だったので保存食を食べて休憩し、汚れた服の代わりに貰った作業服に着替え作業を再開した。合計5往復したところで1日の作業が終了した。今日は清掃中に出現したスライムと戦い、合計3体のスライムを倒した。
業者から日給の銅貨50枚を受け取り、魔力切れと疲労で重くなった体を引きずるように宿に帰った。夕食を詰め込み、体を洗うことを忘れてベッドに飛び込むと、間もなく泥のように眠ってしまった。