第47話 終息
〈ルーシー視点〉
アオイがオーガと戦闘を始めて数分、ほとんどの冒険者や騎士は既に疲弊して前線から離脱しているため、残ったのは前衛のライアンとギルバート、後衛の私とシエルだけとなった。私達はゴブリンジェネラル3体を相手に攻めあぐねていた。本来群れを率いるジェネラルが、3体集まって陣形を取り、死角をカバーしているせいだ。
「うおおおおお‼」
ライアンが裂帛の気合で大剣を振り下ろすも、一体のジェネラルが受け止める。以前ゴブリンの拠点を攻めた時は打ち勝っていたけど、ここにいる3体は森にいた個体より強いようだ。
ギルバートは剣と盾を巧みに扱い、私達に攻撃が行くのを防ぐ。問題なく防御できているけど、その分攻撃がおろそかになっていた。
私は弓を、シエルは魔銃で狙い撃つが、回るように移動されるせいでうまく急所に当たらない。
……仕方ない。こうなったら、〈紋章術〉でまとめて倒すのが最適。シエルの手を掴んで魔力を強奪する。
「シエル、あなたの魔力、使わせてもらうわ!」
「え⁉わ、わかった!」
額の紋章に触れ、魔力を高める。今の私の全力を、この一撃に込める――!
『交わりし元素よ、渦を成してはじけ飛べ!《メイルシュトローム≫‼』
体から一気に力が抜け、水と風の混ざった大渦が発生する。前衛への合図と同時に強烈な一撃が放たれた。
「「ギャアアア!!」」
ゴブリンジェネラル達が悲鳴をあげる。元々剣で傷がついていたのもあって、いとも簡単に切り裂かれていった。絶体絶命となったところ、大剣が振り下ろされる。
……ここまであっさり終わるなら、最初からやっておけばよかった。
オーガと戦っているアオイに加勢しようと視線を向けた先には—―棍棒を握れず取りこぼしたオーガと、赤黒いオーラを纏いパンチを繰り出すアオイの姿があった。
「アアアアア‼」
「………!」
両者は体の至る所から血を噴き出し、オーガは絶叫し、アオイは声をあげることなく規則正しい呼吸音だけが響く。体格のいいオーガが怯み、比較して小さいアオイが暴威をふるうという、常識離れした光景に言葉が出なかった。
「ルーシーちゃん!加勢するわよ!」
「あ……待って!」
すぐに立ち直ったシエルがオーガに狙いを定め、引き金を引く。魔力の弾が脛を穿ち、体勢を崩す。慌てて私も矢を放つが――なんとアオイが叩き落とした。
一瞬、アオイが後ろを振り返る。顔の半分が焼け爛れ、ドス黒く輝く瞳には、「邪魔をするな」と語っているようだった。
ショックのあまり腰から力が抜け、その場にへたり込んでしまう。そうこうしているうちに、膝をついたオーガの顔面に生成したであろう真っ赤な槍が突き刺さった。
オーガの体が横たわることを見届け、短くも長い戦いは終わりを告げた。




