第4話 ユニークスキル マスターウェポン
宿に戻り、もう一度『ステータスオープン』と唱えた。
【ユニークスキル】
マスターウェポンLv1
この文字をもうタップすると詳細な情報が提示された。
ユニークスキル:マスターウェポン 魔力を具現化し武器を生成する
俺のユニークスキルは、何もないところから武器を創り出すものみたいだ。だから荷物にナイフ等が入っていなかったのか。
…最初から使えたら森で遭遇したホーンラビットから逃げずに済んだのかな~
そんな妄想を振り払い、宿の庭に出てスキルを使ってみることにした。
どうやって使うかよくわからないが、こういうのはイメージが大事だと相場が決まっている。なので、手を開き、手元に30センチほどの剣が現れる光景をイメージした。次の瞬間、体から何かが抜けていき、手には真っ白な剣が握られていた。
「おお〜すげぇ!」
思わず声に出てしまった。
剣を軽く振るってみると、小さく風を切る音が聞こえた。
調子に乗って10分ほど素振りをしていると、急に体に力が入らなくなった。同時に、さっきまで握っていた剣が霧散してしまった。
膝をついて息を整えた後、もしやと思いステータスを表示した。
魔力 0/10
…力が抜けた理由は魔力切れだった。
たった10分しか維持できないとか、実戦で使えるだろうか?…ま、レベルが上がれば魔力が増えると信じよう。当分の間は武器を購入して使い、サブウェポンとして使うのが良さそうだ。
少し休憩し、立ち上がることができたので、だるさを感じつつも冒険者ギルドに依頼を受けに向かった。武器を確保するために、戦闘以外の依頼で資金を稼ごう。
雑用系の依頼を探していると、一つの依頼が目に留まる。
【下水道の清掃 日給銅貨50枚 継続して受けてくれる人募集中!】
紙がボロくなっていることから、ずいぶん受けられていない依頼みたいだ。この紙を掲示板から剥がし、受付に向かった。
「下水道の清掃ですね。清掃道具は向こうが用意してくださるみたいです。頑張ってください。」
依頼先の清掃業者の所に向かった。人手不足らしく、ずいぶん喜ばれた。
「そこにあるモップを使って壁の汚泥を落とすんだ。壁から剥がれ落ちたらバケツに入れて、いっぱいになったら戻って来てね。」
モップを受け取り、早速下水道に向かった。そこは匂いが酷く、貰った布をマスク代わりにしていなければ、体調に異常をきたすほど臭かった。
匂いを一旦無視して壁の清掃に取り掛かる。
モップを壁に擦らせると泥が先端に付着していた。泥をバケツに移し、また壁にモップを擦り付ける。1時間ほど作業していると思ったよりも疲労が溜まってきたので、一度休憩をとる。
掃除した壁にもたれかかった時、下水の中心から何かがゴポゴポと蠢き、丸い何かが襲いかかってきた。