第27話 ゴブリンジェネラル
門を越えると、ゴブリンたちの視線が襲撃者に集まる。早速一体、棍棒を手に跳び掛かってきた。俺に狙いを定めた一撃が命中する前に、タイミングを合わせ刀を振りぬく。すると、ソイツの体は半分に切り分けられた。
その光景を見た他のゴブリンたちは、身を固めてしまう。その一瞬に、酒飲み3人衆が動き出す。
「雑魚の相手は任せろ!アントン!!」
「わかってらぁ!【タウント】!!」
アントンの【戦技】によってゴブリンの注意が一斉に集まる。攻撃は彼に集中するが、大盾を使ってすべて受け止める。そして隙が出来たところにイーサンが長剣、フランツが短剣で一体一体倒していく。3人は息を合わせてゴブリンをあっという間に殲滅していった。
俺も指を咥えて見ているわけにはいかない。彼らの背後で魔法を発動させようとするメイジに突撃し、袈裟切りを放つ。またも一撃で撃破し、前線を崩壊させた。
〚ギェギャギャ!!〛
息をつく間もなく第二陣が戦線に到着した。先ほどの倍近くの数が迫ってくる―
キン!
俺を狙った矢を刀身で弾く。飛んできた方向を見ると、高台にアーチャーがいた。見張りはルーシーが倒したはずだが…
反対の高台には、下から登ってくるゴブリンと相対するルーシーの姿があった。どうやら片方は制圧したが、取り戻そうとする奴らの対処で忙しそうだ。
「イーサン!高台のアーチャーを潰せ!!」
「わかった!アオイと交代するぜ!!」
アーチャーは彼に任せ、俺はアントンにまとわりつくソルジャーを次々に倒していく。途中からターゲットが俺に変わったが、焦らず被弾を避け、一体ずつカウンターで仕留めた。
それから、第三陣、第四陣と続き、俺達は少しづつ消耗していった。三本目のマナポーションを飲んだ時、奥の洞穴から体長二メートルほどの大きなゴブリンが姿を現した。おそらくあれがジェネラルだろう。俺たちが疲弊するのを待っていたようだ。
奴はニタニタと笑いながらソルジャーをかき分け、前に出てきた。三人の下にたどり着く前に俺は奴の正面に立ち、挑発する。
「ずいぶん遅かったじゃねえか。ビビッてんのか?」
「ギギ…ギャ!!」
俺の態度を感じたのか、一直線に突っ込んできた。まずは『疾走』スキルを発動し、加速しつつその場にどっしりと構える。刀の間合いに入った瞬間、奴の横を通り抜け脇腹を斬りつける。そのまま後ろに回り込み背中に袈裟切り、左水平斬りを叩き込む。慌てて後ろを振り向いた奴の死角となるよう腰を低くし、膝を切り裂いた。
「グ……」
思わぬ連撃にジェネラルは膝をついてしまう。正面に回った俺は切っ先を右下に向け、右手を刀身に添える。いわゆる鞘なし抜刀の構えを取り、 奴の首と水平になるよう渾身の居合斬りを放つ!
「はぁっ!」
鋭い刀から放たれた一撃はいともたやすくジェネラルの首と胴を切り離した。
首がボトリと地面に落ち、活動を完全に停止したことが確認できた。
落ちた首をサッカーボールの要領で蹴り上げ、刀の先端に刺して掲げる。それを見て、ゴブリンたちはボスがやられたことに激怒し、奇声をあげて襲い掛かってきた。
「…あなたたちはもう終わり」
だが、頭を失ったゴブリンたちなど、ルーシーと酒飲み3人衆の敵ではない。次々と返り討ちにしていき、やがて最後の1匹が倒れた。
「―っ!しゃあああああ!!!俺達の完全勝利だ!!!!」
アントンが雄叫びをあげ、勝利を喜ぶ。俺も笑顔を浮かべ全員にハイタッチをした。勝利の余韻に浸っていると、日が落ちてきているのが見えてきた。急いで討伐証明を回収し、街へ帰還する。
「今回の拠点には、普通のゴブリン47体、ソルジャー23体、メイジとアーチャーが17体、ジェネラル1体、合計105体のゴブリンがいたわね。いくらになるのかしら?」
「お、数えてたのか。まあジェネラルの値段によるだろうな。他は雀の涙ほどしかないし…」
「そいつは異世界の言葉か?俺は聞いたことがないが」
俺の言葉にフランツが反応した。そういえば、今までは異世界人として浮かないようにしゃべり方を気を付けていたな。冒険者ギルドに知られているとわかってから、隠す必要がなくなったからかな。
街に戻った後、すぐにカリンさんに報告した。彼女は一瞬、信じられないといった表情を浮かべたが、すぐに笑顔で祝福してくれた。
報酬は高額なため後日受け取りに来てほしいとのことなので、今夜は酒飲み3人衆とパーっと飲むことにした。
はてさて、合計金額はいくらになるのやら…




