第24話 迫る異変
黒曜魔法店から発ち、冒険者ギルドに依頼を求め足を運んだ。夜へと差し掛かり、人の姿もあまりないだろうと思って入ったが、なにやら掲示板周辺に冒険者が集まっていた。ひとまずルーシーを待機させ、近くの冒険者に事情を尋ねた。
「なあ、一体なんの騒ぎなんだ?」
「ああ…アレを見てくれ。」
人の波を搔き分け近づいていくと、一枚の大きな張り紙が掲示されていた。
”Cランクパーティ【風切羽】ゴブリンの巣調査の末に消息不明!”
「マジかよ…あの美女たちがゴブリン共に…許せねぇ」
どうやら、巣の調査を行っていた冒険者が行方不明となったようだ。しかもその【風切羽】は、女性だけで構成され、全員が美人なうえこの街一番の実力者集団だと噂だ。つまり、ゴブリンの巣が見つかった南の森は、そんな連中が生死不明となるほどのヤバい状況だということだ。
それと同時に、冒険者ギルドは立ち入り禁止となっている南の森に代わる収入源として、西の廃坑での採取、討伐依頼を増やした。
ルーシーと合流し翌日の依頼を探していると、背後から受付嬢のカリンさんの声がかかった。
「アオイ君、少々お時間をいただけますか?」
「こんばんは。大丈夫ですが…一体何事ですか?」
「ひとまず、私についてきてください。ルーシーさんもご同行願います。」
カリンさんは俺達二人を2階へと連れていき、一番奥の大きな扉の前に立ち止まった。
「ギルドマスター、例の冒険者をお連れしました。」
「そうか。入ってくれ。」
カリンさんが扉を開けると、左右に向かい合うソファと大きなデスクが目に入る。どうやら社長室のようだ。デスクの奥には、壮年の男性が俺達を見ていた。
「はじめまして。異世界人アオイ君。私はギルドマスターのジェイコブだ。座ってくれたまえ。」
上から目線な態度に少し腹が立ったが、言われた通りにソファに腰かけた。ルーシーは俺と対面する位置に座り、不安そうに見つめてきた。
「早速だが、君たち二人には私からの依頼を受けてもらう。内容は、【ゴブリンの拠点の制圧】だ。何か質問はあるかね。」
「…何故自分なのでしょうか。確かに自分は異世界人ですが、腕の立つ冒険者なら他にもいるはずですが…」
冒険者ギルドは俺が異世界人ということを把握していたが、スキルについては知らないのだろうか。俺の強さはステータスカードを確認すれば一目でわかるだろうに。それに、俺以外にもたくさんの冒険者がいるはずだが、彼らを差し置いて俺が選ばれる理由がわからない。
「君を選んだ理由は、異世界人だからだ。神から異能を授かっている異世界人が活躍することに意味があるのだ。」
「なるほど。尖兵として戦うのですね。…わかりました。その依頼、引き受けさせていただきます。」
「協力感謝する。拠点は全部で8個ある。その内3つは一月以内に潰してくれ。」
こうして俺達はゴブリンの巣へ侵略することになった。カリンさん曰く、討伐報酬が通常よりも多く、食料やポーションが支給されるようだ。さらに拠点一つ潰すごとに金貨5枚も手に入るという大盤振る舞いだ。
これまでにない危険な依頼だが、成功すれば莫大な金が得られるだけでなく、ギルドからの信頼も勝ち取ることができる。気を引き締めていこう。




