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第23話 黒曜魔法店

 ウィンドラビットを討伐した次の日、俺はルーシーに連れられ魔法に関する道具が売ってある魔法店へと足を踏み入れた。店の中には、淡く輝く液体の入ったビンや光を発するランタン、30センチほどの短い杖など、たくさんのアイテムが怪しい雰囲気を作り出していた。

 俺が店の中をキョロキョロと見渡していると、ルーシーはカウンターに近づき、魔法使いらしいローブを纏ったおばあさんに話しかけた。

 「いらっしゃい。『黒曜魔法店』へようこそ。お嬢さんは何をお探しで?」

 「この角と魔石を使って杖を作って欲しいの。持ち歩きやすいステッキに仕立ててちょうだい。」

 「ふむふむ…悪くない素材だねぇ。材料費を差し引いて銀貨20枚でどうだい?」

 「…杖の代金は銀貨15枚でお願い。ポーションとか別で買うから…」

 ルーシーとおばあさんが交渉している間に、店の中を見て回ることにした。初めに、ポーションについてみて回った。どうやら緑色が生命力回復のライフポーション、紫色が魔力回復のマナポーションと呼ばれるみたいだ。他には、頭が冴えるポーションだの、筋肉ムキムキになれるポーションだの、見るからに怪しいものがあった。インチキ臭くて逆に気になってきたぜ。…値段が1個銀貨30枚というとんでもない額であるため、手が出せないのが残念だ。

 別の棚にはモンスターの魔石や魔晶石という鉱石を媒体とする魔道具があった。投げると延焼する火炎瓶や砕くことで一度だけ魔力障壁を作り出す結晶など、便利なアイテムが多く陳列されていた。これらも一個当たりの値段が高いが、入り口で見たランタンは銀貨3枚で買え、燃料もそこまで多くないみたいだ。

 「すみません。このランタンください。」

 「毎度あり!お嬢さん、連れを待たせるんじゃないよ。」

 「…わかった。銀貨18枚で手を打つわ。」

 「まったくしかたないね。はい、これでいいかい。」

 「もう出来たのか!?早すぎんだろ…」

 俺はおばあさんの仕事の速さに驚いた。それぞれの道具を受け取り、宿に戻って試すことにした。

 「さてと、それじゃあ始めるか。ルーシー、早速魔法を見せてくれ。」

 「そんなに急かさないでよ。…まあ、口で言うより実践した方がいいか。」

 そう言って、宿の庭に積まれた藁に杖を向け、詠唱し始めた。

 『宙を揺蕩う風よ、矮小なる嵐を巻き起こせ。≪ブリーズブロウ≫!』

 次の瞬間、杖の先端から突風が吹き、藁束を吹き飛ばした。パッと見た感じ、ウィンドラビットに使った時よりも勢いが強くなっていた。恐らく、杖に仕込まれた魔石が威力を増幅させているのだろう。

 「これが風属性の基礎魔法、≪ブリーズブロウ≫よ。見ての通り、前方に風を吹かす魔法なの。」

 「前に使ったやつだな。…どの程度の威力なのか知りたいから、俺に撃ってくれないか?」

 「…え?」

 俺は散らばった藁束を指差した。彼女も的がなくなったことに気づいたようで、渋々了承してくれた。

 「…準備はいい?≪ブリーズブロウ≫!」

 「…っ!」

 次の瞬間、突風が吹き、体を後退させた。…だが、両腕を交差してガードしたおかげでダメージを抑えた。

 生命力 58/65

 ステータスを確認すると、およそ1割程度のダメージを受けたことが確認できた。

 「俺の防御力でこの位か…思ったより火力はないな。」

 「…アオイの言う通り、今まで魔法を使わなかったのは、弓の方が強いからなのよ。他の魔法はレベル不足で覚えてないし…」

 「魔法より弓を鍛えた方が実戦で使えるもんな。いつかマナポーション買ってレベリングとかやりたいな。」

 「そうね。私の魔法はこんな感じ。…あ、」

 「どうした?」

 何かを思い出したか、ポツリと呟いた。

 「依頼の報酬、アオイの分まで使っちゃった…」

 「…!?おいマジかよ。ま~た稼がなきゃいけないじゃん。…ルーシー、次から報酬は先に分けような。」

 「…ごめんなさい。」

 こうして、一難去ったと思いきや、金欠状態から未だに抜け出せなかった。夕食後、俺たちは再び稼げる依頼を求めて冒険者ギルドに向かった。

 

魔光のランタン:半径10メートルを魔法で照らす魔道具

        使用可能期間:3か月~1年


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