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第2話 目が覚めたら大自然でした

 目を覚ますと、教室にいたはずなのに、草の上に横たわっていた。

 落ち着いて現状を整理しよう。俺の名前は 烏野(からすの) (あおい)。高校生だ。…もう学生じゃないか。

 体を起こして辺りを見渡すと、体育館ぐらいの大きさの泉とそれを囲む木々があり、水面には高校の制服ではなく、ファンタジー世界の村人が着てそうな服に身を包んだ俺の姿が映っていた。

 改めて身の回りを確認すると、自分の直ぐ側に大きなバックパックが置いてあることに気づいた。中を開けてみると、銀貨と銅貨の入った小さな袋、水筒代わりの水袋、数日分の保存食、手紙が入っていた。

 手紙には『そのバックパックには重量を少しだけ軽減する効果があるよ。大事に使ってね~』と書かれていた。

 神様からのプレゼントみたいだ。

 とりあえずバックパックを背負ってみると、10キロほどの重さを感じた。重さが軽減されているらしいが、よくわからない。

 ひとまず街を目指すために泉に背を向け、歩き出す。すると

【コノ先 街道 ホーンラビット二注意】

と描かれた看板があった。

 …というか文字読めるんだな。

 文字の横には角が生えたウサギの絵が書かれていて、ここが異世界なのだと改めて実感させられた。

 先を歩いて1時間ほどだろうか。自分の真後ろの草むらからガサガサと音がした。

 慌てて振り返ると、そこには50センチほどの角の生えたウサギが姿を現した。

 …あれがホーンラビットか。

 ナイフでもあれば応戦できただろうが、生憎バックパックには入っていなかった。

 俺にはとある秘密があるのだが…現状の解決には役に立ちそうにはない。すぐに回れ右し、全力で駆け出した。ウサギは一瞬驚き硬直した後、俺を追って走り出す。

 脇目も振らずに走ったが、今にも追いつかれそうだった。とにかく助けを呼ばなくては。

「誰かあああああ!!!助けてくれえええ!!!!!」

 すると俺の必死の叫びを聞きつけた数人の男が接近し、剣を構え、ホーンラビットに振り下ろした。

 ホーンラビットはその一撃で絶命し、動かなくなった。

 息を整えていると、一人の男が話しかけてきた。

「あと少しでケガしてた。危なかったな。」

男は皮の鎧に身を包んだ、いかにも冒険者といった見た目だった。

「はあ、はあ、た、助けていただきありがとうございます。」

「無事でよかったよ。ところで、君はなぜ街道から外れたこの場所にいるんだい?」

「いやあ、迷子になっていまして。ところで近くの街ってどこですか?」

 俺の恰好を見て、出稼ぎに来た村人だと思われているみたいだ。その言葉に男は少し呆れた様子で、

「次の街まで俺達と一緒に来い。2時間ほど歩けばミーダという街に着く。」

 と言ってくれた。

 道案内だけでなく守ってもらえるのはありがたい。その言葉に感謝し、男達に同行した。

 道中、彼らについてたずねると、やはり【冒険者】という職業で、冒険者ギルドで登録すればなれるということを教わった。

ミーダの街の門に着くと、門番に

「君は街に入った後、どこで働くつもりかね?」と聞かれたので、

「冒険者になってみようと思います」と返した。

 同行した男達は同情するような視線を向けられた。

 ホーンラビットすら倒せなかった男が言ったことが不安なのだろう。

 先行きが不安だが、街に入ることができた。男達の情けか、街に入る際の通行料は代わりに支払ってくれた。

「ありがとうございました!!」

 俺は彼らに大きく頭を下げた。すると頭をポンポンと叩かれ、「頑張れよ」と励ましてくれた。

 

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