第1話 よくある異世界転生
8時25分、遅刻寸前に高校の教室に駆け込んだ。ゼーハーと息を切らして自分の席に座る。「おはよー葵。ギリギリだったね。」
隣の席の朝倉 燐音が俺に声をかけてきた。「しょうがないだろ。昨日は拓真と光太郎がランクマ誘ってきてなかなか寝れなかったんだよ。」
そんな雑談をしていると、ホームルームのチャイムが鳴った。しかし、数分たっても先生が来ることはなかった。
どういうことだろうと目を合わせると、何者かが後ろから体重をかけてきた。「葵、学級委員だしセンセイ呼んでくんね?」その正体は後ろの席の呉島 美月だった。
は〜めんどくさと思いながら席を立った瞬間、
ドアがガララっと派手な音を立て、見たことのない褐色肌の男性が教室に入ってきた。
あの人は誰だと教室がざわめくなか、その男性は指をパチンッ!と鳴らす。次の瞬間、目の前には真っ白な空間が広がっていた。全員が混乱していると、男性が朗らかに言った。
「私は神様だ。たちには、異世界に行ってもらうよ。」
…は?
唐突な言葉に思考が停止する。すると隣から「異世界転生キターっ!!」と叫び声が聞こえた。声の主は先日俺とゲームをした天津 拓真だ。彼は異世界転生の話が好きすぎて、自分が転生したことを想定して農業や工業を勉強するという変態だ。彼を見て冷静さを取り戻した俺は、目の前の男性に異世界について尋ねた。そうしてわかったことは、
・剣と魔法、スキルが存在するファンタジー世界で暮らしてもらう
・人間の他に、魔族やエルフ、獣人などが存在する あとモンスターもいる
・通貨は銅貨、銀貨、金貨、白金貨があり
銅貨=100円、 銀貨=1万円、金貨=100万円、白金貨=1億円に相当する
・一人ひとりに[ユニークスキル]が与えられる
といったことがわかった。
今の状況を整理していると、「異世界には、勇者や魔王がいますか!?」という女の声が聞こえた。彼女は桜井 彩花といい、俺たちの学校の生徒会長を務めている。…なんかやけにテンション高いな。その言葉に男性―神様が「魔王ね―一応いるけど…」と言葉を濁した。それを聞いた桜井のテンションが最高潮に達したことを横目に、神様なら思考を読めるだろうと考えた俺は
『自分達に何か使命はあるか?』と頭の中で問いかけてみた。
すると、『そうだね~、強いて言うなら生きること、かな』と脳内に返事された。
…勇者や魔王は存在するけど、俺達はその枠ではないということだろうか。再び問いかけると『その通り。君達には、モンスターをいっぱい倒して、世界を安定させることが仕事なんだ。ま、それを強要するつもりはないから、好きに生きればいいよ』と神様が答えてくれた。
その後、クラスメイトからの質問が落ち着いた時、突如空間が光りだした。
「君たちに良き未来があらんことを」
その声を聞いた直後、俺は意識を失った。
気が向いたら続きを投稿するつもりなので
よろしくお願いします。