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二章 姉貴と高校

「そうだね……今日は誠の入学式だもんね! 早く支度して一緒に行こう!」


「そうだな、支度するから姉貴は下で待っててくれ」


クールぶっている俺だが、姉貴の「一緒にいこう!」を聞いて内心とてもニヤニヤしている。いつまでも悦に浸っているわけにも行かず俺は急いで支度をし、姉貴の待つ一階に降りた。


「早いね誠」


「あらあんた起きてたの?」


姉貴とお袋が俺を見て言った、ちなみにお袋はどこにでもいる普通の母親……


「学校でフラグ立ててきなさいよ!」


前言撤回、はっきし言って性格がまんま俺そのものである。恒例のスペック紹介タイム!


 お袋の名前は、白石 美弥子シライシミヤコ年齢は3…… 


「死にたいのかしら?」


すいません。趣味は読心術、アニメ、ゲームだそうだ。容姿は脅されているのとは関係無しに、10人いれば9人は「美しい」というであろう、華奢で細い体型で、顔も姉貴を大人にしたようなもので姉貴も大人になればこのような女性になるのだろう。髪は栗色で姉貴がお袋の血を受け継いでいる事を証明している、そして、とても長い栗色の髪を後ろで結わいている。


「あんたにしては上出来よ」


「お母さん? 何言っているの?」


姉貴が不思議そうに訊ねたが、姉貴、知らなくて良い事もあるんだぜ?


「知らなくて良い事もあるのよ茜」


「そう……わかった」


納得はしていないようだが引き下がってくれた 。


「とにかく早くご飯食べていこうよ、誠」


姉貴が思い出したように話した、そうだこんなことやっている場合ではないのだ。俺と姉貴は、急いで席に着き朝食をとることにした。


「もう出来ているから出すわよ」


出てきたのは焼き魚に、味噌汁、ご飯といったこれでもかというような典型的な日本風朝食だった。


「急いでるんでしょ?早く食べなさい」


そうだった、俺たちは急いで朝食を食べ約10分ほどで食べ終えた。味?あぁもちろん激うまだった!

姉貴もお袋から料理を習っている、将来が楽しみだ。


「姉貴行こうか!」 


俺は箸を置き姉貴に言った。


「そうだね行こうか誠!」


姉も箸を置き二人で玄関に向かった。靴を履き俺たちはドア開けた


「気をつけるのよ」


「わかってるよ、行ってきます!」


姉貴がお袋にそう返し家を出た。


「あ! いっけなぁ~い!」


家を出て少ししてから姉貴が思い出したようにに言った。


「実は私生徒会の役員やってるの!」


「初耳なんだが」


「言うのを忘れちゃってたの」


姉貴は語尾に音符が付きそうな感じでそう言った。


「いや、明るく言っていいことじゃあないだろ姉貴」


全くなんて姉貴だ、泣き虫に+でドジっ娘スキルまで完備とは、まさにギャルゲスペックではないか……すまん自重する。


「ごめんね誠……というわけで少し早く行かないといけないの、一人で学校行ってもらってもいいかな?」


「仕方ないさ、一人で行けるから行っていいよ」


「ありがとう! じゃあ学校で会おうね誠!」


「おう、姉貴も頑張って!」


俺がそう言うと、姉貴はとてとてと走っていってしまった。


「せっかく姉貴と一緒に行けそうだったのに……」


あ、本音が……まぁ、ぐちぐち言っていてもしょうがないので、俺は学校までの平淡で坂道も無い道を今度は一人で歩き出した。


 しばらく歩き、学校まであと少しという曲がり角で、聞きなれた声が聞こえてきた。


「誠! 久しぶりだなぁ!!」


「うるせぇな」


「……すいません」


朝っぱらから超ハイテンションで話しかけてきた蛆む…こいつは新藤 (シンドウマナブ)年齢は同じく15、中学時代からの腐れ縁だ。趣味はスポーツ、なんて暑苦しい奴、容姿は、こんな奴だが上の中くらいだろう、恵まれた長身に細い手足、しかし、どこかしっかりした体格をしていて、髪型は短髪で黒い髪だ。顔はスポーティーな爽やかとした顔で、太すぎない綺麗な眉毛と、少し茶色っぽい大きな目をしている。しかし残念ながら勉強はそこまで出来ず、この学校にもスポーツ推薦枠で入ってきたのだ。


「誠って俺には冷たいよな……」


「構うのがめんどいからな」


「泣いていいかな?」


「泣いても良いけど、周りから白い目で見られるよ」


「すいません……」


こんな扱いだが俺の中ではそれなりの評価をしている、こんなのでもいい奴だからな。


「……ところで誠、もうクラス発表されてるぜ!」


おぉ立ち直り早いな。


「そうか、なら行くか」


「あっちだぜ」


俺と蛆虫……学は、クラスが掲示されている場所へ向かった。そこには新入生であろう真新しい、制服を着た生徒たちと、少し大人びた顔をした一年、二年とこの学校で過ごしたであろう生徒たちでごった返していた。


「俺のクラスは……2組だ! 誠は?」


「残念ながら2組だ」


「残念ながらって……」


こいつやっぱ面白いな、まぁとにかくクラスが分かったので俺たちはこれから過ごす1年2組に行くことにした。


「ここみたいだな」


 俺たちは、綺麗で整ったピカピカの廊下を歩いて、1年2組に着いたのだが……


「……遠すぎないか?」


そうなのだ、遠いのだ、俺たちは係りの人に道を聞いたのだが、なんと一番遠いクラスに俺達はなってしまった事が判明した。


「ここに一年間通うのかぁ……」


「全くもって納得がいかないんだが……学は体力馬鹿だからいいだろうが」


「ほんとにお前は俺に対して冷たいな」


だって学だからな、しかし早速鬱になってきた… …


「なに突っ立っている」


「わっ!?」


教室の前で立っているときにいきなり声をかけられ、ついついびっくりしてしまった。


「あの~……誰ですか?」


なんとなく分かるが……


「あら、これからあなた達の担任を一年間請け負うことになった、赤坂アカサカ 御子ミコだ」


「はぁ……よろしくお願いします」


「よろしくっす」


しかし美人だな……姉貴には負けるけど。俺達の担任だと名乗るこの女性は、赤坂御子というそうだ。容姿は背が高くスレンダーで、出るとこ出ているモデル体型だ、加えて、キリリとした目が特徴的で、長い髪をそのまま垂らしている、なんとなくだが多分攻撃的な人だろう。


「入学式の説明をするから、中に入って座っていろ」


「分かりました」


ということで、俺達は入学式ということで多少装飾された教室の中に入った。教室に入るとこれから一緒に学校生活を送る俺たち以外のクラスメートが、静かに座っていた。


「ねぇねぇ、あの子二人かっこよくな~い?」


「だねぇ~! 私あの背の高い人タイプ~!」


「私はもう一人の子が良い!!童顔で可愛い!」


なにやら、俺たちが教室に入った途端に騒がしくなったな……大方、学がかっこいいとかなんとかや、もう一人はあんまし……とかそこらへんだろう、悔しいが……


「ほらほら! 静かにしろ!」


ざわつき始めたクラスを先生が一喝した。


「今日から高校生なんだ! 自覚を持って入学式に臨むんだ、こんな風に浮ついていては高校生としての自覚が足りないぞ!」


やっぱりこんな感じの先生か、予想通りだ。


「というわけだ!入学式はこのように執り行う、まず~……」


ここは長いから割愛させていただく。

 

「……と言ったように式は執り行われるからよく覚えておくように、では今から体育館に向かうぞ」


先生は俺たちにそう言いまだ春先で少々寒い廊下に俺たちを並ばせた。


「さて全員並んだな、今から会場である体育館に向かう、式中はもちろんだが、移動中も私語は慎むようにしろ」


先生が列の先頭でそういって、クルリと前を向いて歩き始めた。さてこれが終われば今日は帰れるんだっけな……そういえば、姉貴役員だって言ってたな、役員の姉貴はどんな感じなのだろうか? 少し歩くと体育館に着いた、流石私学だと思い知らされる広さと、綺麗さだ、そして今、前の組の最後の方の生徒が丁度出て行ったようだ。


「さて今から入場だ、男女ペアで歩いてもらう、ちゃんと合わせるように」


そういって、先生はスタスタと会場内を歩き始めた。俺の隣の女子に声でもかけるか……


「よろしく」


「あぅ……宜しくです……!」


「何で赤くなってるんだ?緊張してんの?」


「いや……その、君がかっこいいから……」


「ん、なんていった? よく聞こえなかったぞ?」


「い、良いの! 何でもないから」


俺に話しかけられるなり赤面し俯いた、変な奴だな、お! 俺たちの番みたいだな。


「よし行こうか」


「うん……」


彼女と俺は歩き出した。


 まぁ、特にハプニングが起きる訳でもなく、俺たちは式に参加することが出来た。しかしだなぁ……


「……であるからにして、我が神宮寺学園は……」


長えぇぇぇ!! 畜生、高校になっても校長の話の長さのクオリティーは落ちないのか!


「……というわけで、新入生の君たち生徒諸君には、神宮寺学園の生徒として頑張ってもらいたい、以上!」


終わったよ……でもまだ次があるのか……そこで、俺が愛して止まない魅惑のソプラノボイスが聞こえてきた。


「皆様! ご入学おめでとう御座います!」


この声は……


「神宮寺学園生徒会副会長の白石茜です!」


副会長だったのか?


「今日は会長が法事のため、代役として皆様に挨拶させていただきます」


姉貴かっけぇ……そこからはよく覚えていない、家で見たことの無い姉貴に、目を奪われてしまったのだ。


「……ということで、我ら神宮寺学園一同はあなた達を歓迎いたします! これからの学校生活を思う存分楽しんでください! 以上です」


いきなりすぎてびっくりしたが、やっぱり姉貴は可愛いな……俺も生徒会に入れないだろうか?


「新入生退場!」


もう出ることになったようだ、俺たちは立ち上がり順に帰って行った、最後に姉貴が俺に気づいて手を振ってくれているのが見えたが、手を振り返すわけにもいかず、俺はそのまま体育館を後にした。


「話があるから座ってくれ!」


 教室に戻ると、先生が俺たちに大きな声でそう言い、教壇に立った。


「まず、晴れて入学おめでとう! 私たち教員もお前たちを歓迎する!」


改まって先生が俺たちに凛とした声で言った。


「そしてもう一つ、自己紹介をしてもらおうと思うが、まず私からだ、私の名前は赤坂御子、25歳だ趣味はスポーツ全般だ、これから一年間よろしく頼む!……次は男子の出席番号1番からだ!」


男子からか……めんどくさいな……こんなことを考えているうちに、俺の番が来たのだが、なんと自己紹介は前に立って行うみたいだ……よくあるパターンだな


「え~っと……白石誠です、趣味はゲームです、一年間よろしくお願いします!」


簡単に終わったな……ん? 趣味からアニメが抜けている? 当たり前だ、言った瞬間楽しい高校生活の終わりが待っている、ところでさっきから女子が俺と目が合うと視線を逸らされるんだが……まさかゲームもアウトだったか?


「はぁ~……やっちまったなぁ……」


俺は溜息を漏らした、すると俺の次に自己紹介を終わらせた学が聞いてきた。


「どうしたんだ誠?」


「実はな、さっき自己紹介の後に……」


俺は学に目を逸らされたことを教えた。


「お前って鈍感なんだな」


「はぁ?」


意味が分からない、そうこうしている内に、女子の番になったようだ。しばらくすると、俺の隣で一緒に会場入りをした女子の番になった。


「えと……か、神山 詩音カミヤマシオンです……しゅ、趣味は読書です、一年間よろしくお願いします!」


落ち着きの無い子だな、しかしよく見ると可愛いじゃないか……やっぱし姉貴には負けるんだがな……くどいようですまない。彼女の見た目は、まず、丁度肩の辺りまである綺麗な黒髪を、後ろで束ねている、顔は少し子供っぽい、そしてやはり体の方もまだ幼い感じで胸が申し訳なさそうに少しだけラインを作っている、全体的に細身だ。


「誠、なかなかあの子可愛いと思わないか?」


突然学が俺に小声でそう話しかけてきた。


「そうだな……俺のタイプでは無いかな」


「お前の理想がどんなものか気になるぜ……」


言ったら、多分納得するだろうな、同時に軽蔑されそうだから言わないが……とにかく俺は姉貴一筋だ! こんな話をして、ふと神山を見てみると、慌てて目を逸らされた……畜生、まじでやっちまった。


ん? ちょうど全員終わったみたいだな。

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