三日月のお月様は優しいんだよ
夜のお空を眺めていると、三日月のお月様に三角の雲がかかった。あれは旅の合図だ。
雲の隙間から光のブランコが現れて、僕を乗せて僕の行きたい場所へ、どんなに遠くまででも連れて行ってくれるんだ。
本当なんだよ。頑張って力強くブランコを漕げば漕ぐほど、三日月のお月様が輝くんだ。
ほら見てよ――――――僕のいた夜の公国が、あんなに小さくなってる。
ねっ? 三日月のお月様は凄いんだよ。だから僕は一所懸命ブランコを漕ぐんだ。
三日月のお月様は輝きを増しながら、僕が寒くないように、あったかい光で包んでくれる。
光のブランコが眩しいくらいに光った――――――――僕はブランコから降りて、駆け出した。
僕が行きたかったのは、お母さんのところ。
お母さんはずっと前に、天国っていう所に行っちゃったんだ。
僕が泣いて寝っちゃてる間に……。
でもね、僕が会いに行くとね、黙って優しく頭を撫でてくれるの。
お母さん大好き――――――――!!
……三日月のお月様に四角い雲がかかると僕はおふとんの中にいた。
お母さんに会いに行ったのに、お母さんが僕といる。
あれ? お母さん……?
――――――――五年前の僕はまだちっちゃくて、お母さんが変わった事に気づいてなかった。
お月様はいまも夜空に綺麗に浮かんでる。
でも三日月のお月様に三角の雲はかからなくなった。
あれは泣き虫な僕のために、天国からお母さんが心配して迎えに来たUFOだったんだ。
コスモスのお花が咲く頃、とっても綺麗なお月様が願いを叶えてくれるんだって。
僕のお母さんは優しかったけれど、今のお母さんは楽しいよ。
だからお月様と同じ名前の三日月堂っていう和菓子屋さんでお団子を買ってもらったよ。
お月様がいちばん綺麗な日にお供えして、元気でやってるから心配しないでって伝えたよ。
お月様は三日月になって、お母さんのかわりにニッコリ微笑んでくれるんだ――――――――。
お読みいただきありがとうございました。この物語は、なろうラジオ大賞5の投稿作品となります。
子供の頃の記憶は曖昧です。主人公が三日月のお月様のブランコに乗ったのは実体験なのか、新しいお母さんが眠る時に聞かせたおとぎ話なのかは果たしてどちらだったのでしょうか。
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