ロボット化する日本人
交通標語だろうか?
ちょっと不思議な、交通標語を見つけた。
「青信号に変わったら、ただちに発進」と。
私の世代だと、青信号でもすぐには発進せず、周りをよく見てから発進するようにと、少なくとも私はそう教わっていた。
でも、今は違うようだ。
実際、先日ある大きな交差点で、信号機が赤から青に変わっても、中々動き出さない車がいました。
特異なのは、その動かない車のすぐ後ろに、パトカーがいたことだ。
しばらくは静かだったが、さすがにパトカーは赤色灯を回し、マイクでこう注意した。
「運転手さん、信号は青になりました。直ちに発進してください」と。
しかし、その車は一旦ブレーキから足を離したようだが、またすぐにブレーキを踏み、とうとう信号機は赤になってしまった。
するとパトカーは、信号が青に変わったら、左に寄せて停車してください云々と、マイクで要請をした。
その後、その車の運転手がどうなったのか、私は知らない。
それからか、信号機が青になっても、動き出さない車が結構あることに気が付いた。
変なのは後続車で、信号機が青になってもなお、クラクションを鳴らさずに前の車が動き出すのを静かに待っていることだ。
それが結果として、渋滞を引き起こしているようで、ついに警察も交通標語で青信号になったら直ちに発進せよと、従来とは逆の交通標語になったと言えます。
つまり、警察や行政から見ても、この青信号無視が目に余るようになったと、そういうことではないだろうか?
よくよく観察すると、挙動がおかしい車もよく見かけられ、一方通行の逆走、停車線を遥かに超えて停車する車等々、中には反対車線を逆走する車まで見かけた。
曲がるとき、対向車線まで思いっきりはみ出すというか、まるで大型トラックのような曲がり方をするような車も存在しますし、突然停車し、いきなりバックする車も居ました。
これは最近割と最近見かける現象で、少なくともコロナ禍前では、比較的珍しい現象と思います。
どうしてこうなったのかを、私なりに考えました。
その一つが、コロナ禍における思考停止状態です。
例えば、マスクの効果です。
マスクの効果は限定的ですが、それでも人々はマスクを外しませんでした。それどころか、マスク警察や自粛警察が現れ、営業を認めらた飲食店に嫌がらせをする始末です。
しかも、日本は世界に類を見ないほど、いわゆる自粛という不思議なことをしていて、自身がすべき判断をすべて行政や世間に委ねました。
これと従来から存在する問題、スマホ依存が加速したと、私はそう推測します。
いわゆるスマホ脳と呼ばれる、そんな現象ではないかと考えます。
車なら、ナビ脳でしょうか。
最近の自動車は性能というか、便利な機能が満載で、自動でライトが点灯する、車庫入れを補助してくれる、果ては目的地まで最適な道を案内してくれる等々、運転手は本当に運転するだけの存在になりつつあります。
衝突回避機能も年々向上し、自動でブレーキがかかる仕組みもありますので、注意する必要がどんどんなくなりました。
つまり、もう何も考えなくていいんです。
ナポレオン時代、名参謀と呼ばれたベルティエですが、彼はナポレオンに仕えていたら、どんどん思考停止状態が常態化していると、周囲にこぼしていたそうです。
ナポレオンは現場に丸投げするような指揮官と違って、微に入り細に入り指示し、しかもそれがよく当たりました。
こうなると、優秀な軍人ですらナポレオンの指示が無ければ、何も判断出来ないようになったと、そういうことになります。
特に人間は、脳の機能に多大なリソースを割いているので、思考停止状態はむしろ、身体的に歓迎するように出来ています。
そこで間違いがほぼない、ナビや自動車の安全機能に概ね従っていることが無意識であり、それが脳の機能として楽なら、これが普通の状態になります。
逆に自己判断しないといけない事態になると、パニックに陥ってしまいます。
信号機が赤から青に変化しても、ナビや自動車から何も指示がないから、どうしていいか分からなくなります。
スマホ脳も同じで、何かあればスマホで検索したり、指示してもらったりすることで思考のショートカットが図れます。
その結果、人間が持ってきた判断能力が低下し、いざという時に何も出来ない、何も判断出来ない人間が大量に出来上がったと、そういうことになります。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズが、スマホに対してどこか警戒心を持っていたのは、有名な話です。
スマホに依存することが、普通になることに対する恐怖心が、彼らにはあったのかもしれません。
しかし、この社会がもう後戻りできないように、どんどん便利になっていくでしょう。
そして何も出来ない、スマホに依存しないと生きていけない人間が、この社会を構成するようになるでしょう。
案外、権力側もそれが分かっているからこそ、アクティブラーニング等々の思考訓練を子供たちに施しているのかもしれません。
すべての日本人が、ただのロボットになったら?
SFではおなじみの設定ですが、もうすぐそこまで、来ているかもしれません。