4 ヒノキの棒
朝だ。
昨日は、夜ご飯いただいた後俺は風呂に入って寝た。
そして今、元女神をおこしている...
「おい、おきろ」
「......」
おきないな。
元とはいえ昨日まではこいつは女神だ。
人間の俺がおこせるはずがない遥か遠い存在なはずだ。
「お~い!お・き・て!!!武器屋、行くよー!」
「...う..ん.....」
お!返事した!!この調子でこの女神をおこそうじゃないか。
「俺、1人で武器屋行ってくるよ?!おきろ!!」
「...うん、そうしてくれるととても助かります。久しぶりの睡眠なんですぅ....では.......」
あ、寝た。
久しぶりの睡眠か...
女神だったわけだし、異世界に行く手配とかよく分からないが、いろいろ忙しかったのだろう。
睡眠を邪魔して申し訳なかったかも...
目の前で幸せそうに眠るイリスを見ると、おこす気も失せてきしな。
さて、行くか。
村にしては少しでかい、町ににしても小さいぐらいの微妙な大きさの村だ。
探索をしたら楽しそうだな。
「えーと、武器屋はどこかなぁ~」
武器屋があるって聞いただけで場所は知らないし、地図もない。
まあ、何とかなるでしょう。
「あの、」
中学生ぐらいの女の子が話しかけてきた。
ここは高校生として年上らしく....?年上らしくとは??
「どうしたのですか?お嬢さん」
....
キャラ崩壊したああああ!!!
「お嬢さんって、私18なんだけど?18はお姉さんじゃない?」
キャラ崩壊した上に年上だったんだけどーー!!うん、18はお姉さんですね!!
どう乗り切ればいいですか...?
「僕にとっては18もお嬢さんですよ?」
うん!完璧ではないがキャラはそのままでいけたな!そしてなぜ急に一人称を僕にしてしまったんだ?
「そう...あ!なんか同じところで立ち止まる見ない顔がいるなーって思ったから話してみたんだけど...」
「そうなんですね。ありがとうございます。そうですね、武器屋に行きたくて」
俺、天才!!キャラを貫き通したうえに、武器屋の場所まで聞いた!
「武器屋?うち武器屋だよ!」
「そうなんですか!偶然ですね」
本当にこんな偶然あるんだなー。
「案内するね!」
「それはそれはご丁寧にありがとうございます。出掛けている最中ではなかったのですか?」
俺、すげえ!!キャラ突き通してる!
「帰るとこだよ。それにもうここ家の前だよ?」
うわっ、マジだ。超近くに武器屋あったんかよ。
「本当ですね...」
そして俺は苦笑する。
「とりあえず家入ろうか!」
「そうですね」
中学生に見えるお姉さんが武器屋に入れてくれた。
店内は、沢山の武器が並び選ぶのに時間がかかりそうだ。
「おお!沢山ありますね...!」
「でしょ!私が作ったのもあるんだよ!特にこれとか...」
そう言って、自信作だと言う剣を持ってくる。
使いやすそうな長さで誰でも使うことができそうな剣だ。
「触ってみてもいいですか?」
「もちろん!!」
[あなたはこの武器を使用できません]
ん?なにこれ?
突然、俺の前に文字が表示された。
「なあ、これ見える.....見えますか?」
あっぶね、素が出た。
「え?どれ?」
「見えないんですね」
異世界転生あるあるじゃん!
だが書いてある文字はチートスキルでも、神様の助言みたいなやつでもなく、この武器が使用できないだ。
「えーと、ほかの武器にする?」
もちろんそうしたい。この武器は俺に使えないようだしな...
だがしかし、自信作らしいのに違うのがいいとはなかなか言いづらい。
「見させてもらえると助かります」
「はーい!!気に入ったやつがあったら教えてね!勝手に触っていいからねー」
「ありがとうございます」
これとかよさそうだな。
[あなたはこの武器を使用できません]
またかよ
じゃあこっち。
[あなたはこの武器を使用できません]
....?
[あなたはこの武器を使用できません]
もう一回!!
[あなたはこの武器を使用できません]
....もしかして武器使えない?でもヒノキの棒は使えた。
俺にはこの武器が強すぎたのか?
「すみません、お金忘れてしまって...宿に戻っていいですか?」
「え...?いいよ?」
「では、また会いましょう」
お金を忘れたっていうのは嘘だ。逃げるための....
あ、棒落ちてる。
[スギの棒:武器]
じゃあ、これは装備できるのか!
[あなたはこの武器を使用できません]
....
使用できなくても装備はできるのか?
[あなたはこの武器を使用・装備できません]
マジか。
つまり俺は、多分ヒノキの棒しか使えないということか?
......とりあえず宿に戻るか。
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